アルツハイマー治療へのエンブレル注射の可能性

研究概要

ロサンゼルスの私的医療施設で、エンブレル(エタネルセプト)を脊髄周囲の筋肉に注射し、アルツハイマー患者12名を対象に6か月間実施した小規模臨床試験が行われました。軽度から重度までの認知症患者に対し、薬剤を直接神経系へ届けることで、症状の改善が観察されました。現在は第2相まで完了し、今後第3相試験が計画されています。

エンブレルとは

エンブレルは腫瘍壊死因子α(TNF‑α)を阻害する生物学的製剤です。TNF‑αの過剰は神経伝達の調整を乱し、脳の炎症に関与すると考えられています。アルツハイマー病は、脳内のグリア細胞が分泌するTNF‑αが神経細胞に損傷を与えることが一因とされています。

エンブレル注射による改善例

認知症患者は言語障害や語彙検索の困難が顕著です。エンブレル注射後数分で会話や理解力が向上し、指示に従う能力が改善しました。具体例として、ある患者は注射後10分で現在の年や居住州を正しく答えられるようになり、別の患者は時計描画テストで正しい円形の時計と時間を描くことができました。

使用上の注意

関節リウマチ、若年性関節炎、乾癬性関節炎など免疫系疾患を有する患者はエンブレルを使用すべきではありません。免疫抑制により結核や他の感染症のリスクが高まります。また、感染症既往や糖尿病管理が不十分な方も使用は禁忌です。

製造元と規制状況

エンブレルは米国のバイオ医薬品企業アムジェンが製造しています。2024年時点でFDAはアルツハイマー病への適応を承認しておらず、さらなる安全性と有効性の検証が必要です。研究者のエドワード・トビニック博士はアムジェン株式を保有し、エンブレルのアルツハイマー治療利用に関する特許出願を行っています。

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