薬物乱用とPTSDに対する相互同時療法(RCT)

はじめに

相互同時療法(Reciprocal Concurrent Therapy, RCT)とは、薬物乱用とPTSDなど、異なる2つの問題を同時に治療するアプローチです。Croatian Medical Journalによれば、PTSDは薬物乱用と強く関連しており、戦闘経験のある退役軍人やレイプ・配偶者からの暴力被害者、災害被災者などで高い共存率が報告されています。研究では、PTSD患者の60〜80%が薬物乱用の問題も抱えているとされ、両者を同時に治療する必要性が強調されています。


Seeking Safety(シーキング・セーフティ)モデル

PTSDと薬物乱用を同時に治療する代表的なプログラムが「Seeking Safety」です。このモデルは、PTSDと薬物乱用に関わる25のトピックを通じて、行動・対人・認知・ケースマネジメントの4領域にわたる対処スキルを教授します。性別やPTSDのタイプ、使用する薬物の種類に関係なく適用可能で、個別セッションでもグループでも実施できます。効果的な同時治療は、PTSDと薬物乱用の両方の症状に十分に対応できることが前提です。


同時療法の基本方針

PTSDと薬物乱用の同時療法は、各障害に対して別々に有効と確認された治療法を組み合わせて実施します。薬物乱用に対しては主に認知行動療法(CBT)が用いられ、PTSDにはストレス免疫訓練(Stress Inoculation Training)が効果的です。


認知行動療法(CBT)

認知行動療法は、合理的情動行動療法(REBT)や弁証法的行動療法(DBT)など、多様な技法を包括する総称です。CBTは「行動は思考から生まれる」という前提に基づき、外的要因ではなく認知の修正を通じて問題行動を改善します。時間的にも比較的短期間で終了できる点が特徴です。


ストレス免疫訓練(SIT)

ストレス免疫訓練は、PTSD患者がトラウマに関連する記憶や感情に対処できる自信を育むプログラムです。第1段階でトラウマ関連の連想を認識させ、続く段階で筋弛緩や深呼吸といったリラクゼーション技法を習得させます。患者はストレスが再燃した際にこれらの技法を実践し、徐々に症状を軽減させていきます。


治療者の資格とチーム体制

薬物乱用とPTSDの二重診断患者に対する治療は、両領域に精通した専門家が必要です。理想的には、臨床心理士(LPC)や臨床ソーシャルワーカー(LCSW/LICSW)であり、かつ薬物乱用カウンセラーの認定を受けた者が担当します。もし単独の専門家が確保できない場合は、薬物乱用とPTSDそれぞれに特化したプロフェッショナルで構成されたチームが協働し、認知行動療法とストレス免疫訓練を統合的に提供することが求められます。

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