採石場がもたらす健康への悪影響
採掘・採石業は、作業者だけでなく近隣住民にもさまざまな健康リスクをもたらします。爆薬や石材の切断により大気中に粉塵が放出され、珪肺や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患の原因となります。また、採掘作業で発生する騒音は、作業者の聴力低下と直結しています。
騒音性難聴(NIHL)
トルコの採石場と破砕作業で測定された騒音レベルと聴力低下の関係を調査した研究(2011年『Environmental Monitoring and Assessment』)によると、作業年数・年齢・職種が聴力低下の度合いと強く相関していました。特に石砕機を操作する作業員は、最も高い騒音にさらされ、NIHL(騒音性難聴)を最も多く経験しています。
肺活量の低下
インドの砂岩採石場で働く労働者を対象に、15年以上の粉塵曝露が肺活量の有意な低下をもたらすことを示した研究(2007年『International Journal of Environmental Research and Public Health』)があります。同時に、珪肺などの慢性肺疾患のリスクも高まることが報告されています。
一般住民へのシリカ粉塵曝露
カリフォルニア州環境保護局が行った調査(2005年『Regulatory Toxicology and Pharmacology』)では、採石場周辺の空気中シリカ粉塵濃度は 3〜10 µg/m³ と測定され、過去の報告よりも高いと指摘されました。このレベルの粉塵は、慢性肺疾患の発症リスクと関連しています。
肺組織の炎症
ノルウェーの石材採石場から採取した微細粒子をヒト肺上皮細胞に曝露した実験(2005年『The Annals of Occupational Hygiene』)では、細胞がケモカインと呼ばれる炎症誘導タンパク質を分泌することが確認されました。どの成分が炎症を引き起こすかは不明ですが、粉塵が肺炎症を誘発する可能性が示唆されています。
