犬の噛み傷から起こる感染症とその危険性
犬の口内には人間と同程度の細菌が存在し、噛まれると様々な感染症を引き起こす可能性があります。噛み傷の重症度に関わらず、速やかな処置と医療機関への受診が重要です。
破傷風
破傷風菌(Clostridium tetani)は土壌や糞便に多く存在し、犬が地面のものを舐めることで口内に取り込みます。噛み傷で菌が創傷に入り増殖すると、発熱や筋肉痙攣が現れ、重症化すると喉や胸の筋肉まで痙攣し、嚥下や呼吸が困難になります。
ブドウ球菌感染症
ブドウ球菌は通常皮膚に常在していますが、犬の噛み傷で血流に侵入すると、心臓、肺、腸など全身へ広がります。症状は皮膚の発疹や膿瘍、持続的な発熱、吐き気など。重症例では心内膜炎(エンドカード炎)を起こし、生命に危険が及ぶことがあります。
パスツレラ症(Pasteurellosis)
パスツレラ菌は犬の唾液に常在し、最も頻度の高い噛み傷感染症です。噛まれてから12〜24時間以内に、疼痛、腫脹、発赤、頭痛、吐き気が出ます。菌は骨や腱にまで広がりやすく、早期の治療がなければ永久的な障害を残す恐れがあります。
カプノサイトファガ感染症
カプノサイトファガ・カニモルスは、軽度の噛み傷でも重篤な敗血症を引き起こすことがあります。敗血症は全身性炎症、体温変動、心拍・呼吸数の増加を伴い、最終的に多臓器不全症候群に至り、死亡するケースもあります。免疫不全や脾臓摘出者は特にリスクが高いです。
狂犬病
狂犬病はウイルス性の致死性疾患で、症状は発熱、頭痛・全身痛、水恐怖症、麻痺、昏睡です。全身麻痺が進行すると呼吸が停止し、死に至ります。WHOによれば、症状が出た後の治療法はなく、発症した場合はほぼ必ず死亡します。
以上のように、犬の噛み傷は軽度に見えても深刻な感染症のリスクがあります。噛まれたらすぐに傷口を洗浄し、医師の診察を受けることが最善の予防策です。
