放射線治療の長期的副作用
重要性
放射線治療では、がん細胞がある部位に集中的に放射線を照射します。過去の全身照射と比べ、対象部位だけに限定されるため、正常組織へのダメージは減少しましたが、周囲の健康な細胞も損傷しやすく、長期的な副作用が生じることがあります。
軽度の副作用
- リンパ系が刺激されることで、リンパ浮腫(組織のむくみ)が起こります。腹部の膀胱や腸に近い部位を照射した場合、尿や排便に違和感や炎症が生じることがあります。前立腺への照射では、下痢、失禁、時折の直腸出血が見られ、治療終了後最大1年続くことがあります。
二次がん
- 放射線は健康な細胞のDNAを損傷し、二次がんを引き起こすリスクがあります。放射線単独でも、化学療法と併用した場合でもリスクは増大します。特に若年でホジキンリンパ腫に対して行われる放射線は、二次がんの発生率が高く、白血病が代表的です。二次がんは治療後5年頃から顕在化し、15年以上経過してから発症するケースもあります。近年の高度な放射線技術により、リスクは大幅に低減されています。
生殖へのリスク
- 骨盤部位を照射された女性は、生理不順や早期閉経になる可能性があります。卵巣が放射線にさらされると、永久的な不妊に至ります。精巣がんの放射線治療を受けた男性は、精子の産生が低下し、妊娠能力が減少します。前立腺照射後は勃起障害が起こりやすく、治療後1年程度続くことがありますが、永続的になるケースも報告されています。
甲状腺機能低下症
- 頸部に放射線を照射された患者の約3割が、甲状腺ホルモンの分泌低下(甲状腺機能低下症)を発症します。症状は乏しく、治療完了後に遅れて現れることが多いため、定期的な血液検査でのフォローが必要です。
リスクとベネフィットの判断
- 二次がんをはじめとした長期的な副作用は重大です。患者は治療の効果とリスクを比較検討し、担当医と十分に相談した上で治療方針を決定することが重要です。
