黒死病を引き起こした生物は何か?
黒死病(黒死)は14世紀ヨーロッパを席巻し、人口の約3分の1が死亡した恐ろしいパンデミックです。今回は、黒死病の原因となった致死性細菌と、その感染経路、歴史的な誤解について解説します。
Yersinia pestis(ペスト菌)
ペスト菌はYersinia pestisという細菌で、腺ペスト(腺腫性ペスト)、肺ペスト、敗血症ペストの3形態を引き起こします。黒死病の主な形態は腺ペストで、感染から1週間以内に黒く腫れた腺(腺腫、bubo)が現れ、出血を伴いながら急速に致死します。寒冷な環境下では肺ペストが発生し、咳によって細菌が空気中に放出され、他者に感染しやすくなります。敗血症ペストは血流に大量の菌が入り込み、数時間から1日で死に至る最も致命的な形態です。
感染経路
ペスト菌は主にノミが媒介します。ノミは感染したネズミに吸血し、そのノミが人間を噛むことで菌が伝播します。13世紀の交易船は大量のネズミとノミを乗せて港から港へと移動し、都市部や住宅へと感染源を拡大させました。このため、ノミ自体も黒死病の原因生物の一つと考えられます。
その他の感染経路
ネズミ以外にも、マウスやリスなどの齧歯類がノミを媒介し、同様に人間に感染させました。特に、死亡した齧歯類を処理する際に、まだ生きているノミが人間に跳び移り感染するケースが多く報告されています。
当時の説明と現代の理解
19世紀までペスト菌がノミを介して伝わることは知られていませんでした。当時は地震や汚染水、罪や悪霊が原因と考えられ、様々な迷信が流布していました。現在ではペスト菌は抗生物質で効果的に治療でき、適切な衛生管理が感染拡大を防ぎます。
