病院で転倒を防止するための実践的ガイド
病院内での転倒は、患者の状態やスタッフの監視不足などさまざまな要因で起こります。米国医療改善機構(Institute for Healthcare Improvement)によれば、転倒は病院で最も頻繁に報告される事故のひとつです。転倒は軽度の打撲から骨折といった重篤な怪我まで幅広く、入院期間の延長や医療費の増大につながります。そのため、介護施設やリハビリテーションセンター、急性期病院を問わず、転倒防止プログラムの策定が重要です。
転倒防止の具体的な手順
-
ステップ1:リスク評価の実施
入院時に転倒リスク評価表を用意し、患者が服用中の薬剤(めまいを引き起こす可能性があるもの)や既往症、認知症(例:アルツハイマー病)の有無、過去の転倒歴などを確認します。これらの情報は転倒リスクの有無を判断する重要な指標となります。
-
ステップ2:患者への教育
患者に転倒防止のポイントを説明します。滑り止め付きのスリッパを履くことや、ベッドサイドのテーブルは手の届く範囲に置くこと、歩行が不安定なときは必ずスタッフに助けを求めるよう促します。
-
ステップ3:リスク患者のスタッフへの周知
転倒リスクが高い患者の部屋にステッカーやサインを貼り、カラーコードされたリストバンドを装着させます。また、リスク患者にはスタッフが巡回回数を増やすなどのポリシーを設定します。
-
ステップ4:ベッドアラームの活用
患者がベッドから離れた際に鳴るアラーム機能があるベッドを導入し、特に認知症患者など自覚が乏しいケースでの転倒リスクを低減します。
-
ステップ5:サイドレールとベッドの安全設定
すべての患者ベッドにサイドレールを上げ、ベッドは最低位置に設定し、車輪は必ずロックします。ベッドを上げた後は必ず元の位置に戻すこと、車輪ロックの徹底をスタッフに教育します。
-
ステップ6:呼び出しボタンと歩行補助具の配置
呼び出しボタンは患者の手の届く位置に置き、歩行器や杖はベッド横に配置してすぐに使用できるようにします。必要に応じてベッドサイドにポータブルトイレを設置し、トイレまでの移動による転倒リスクを減らします。
以上の6つのステップを組み合わせて実践することで、病院内での転倒リスクを大幅に低減させ、患者の安全と治療効果の向上につなげることができます。
