心臓ケアユニットの国際標準

心臓ケアユニット(CCU)は、重篤な心疾患患者を専門的に治療するために設備が整った病院内の部門です。CCU は集中型(ICCU)と中等度型(Intermediate Care Unit)の2種類に分かれます。欧州心臓学会(ESC)急性心臓ケア作業部会は、ICCU と中等度CCU の構造・機能・組織に関する推奨事項を提示しています。

滞在期間と転院

ESC は、重症心疾患患者はICCU に2〜4日間滞在すべきとし、状態が安定したら速やかに中等度CCU もしくは一般病棟へ転院することを推奨しています。転院先の部屋は簡易心電図モニタリングが可能で、心臓専門スタッフが常駐することが条件です。その後、患者は在宅リハビリ施設や外来リハビリテーションへ移行します。

ベッド数の目安

ベッド数は地域人口と救急搬入件数に応じて決定すべきです。人口10万人につきICCU ベッドは4〜5床、年間救急搬入件数10万件につきICCU ベッドは10床確保することが目安とされています。中等度CCU のベッドはICCU のベッド1床につき3床が理想です。

必須設備

ICCU には次の設備が最低限必要です。

  • 患者モニタリングシステム(心臓カテーテル、心電図2チャンネル以上、酸素飽和度、非侵襲血圧測定)
  • ベッドの半数以上は心電図5チャンネル、追加ヘモダイナミックチャンネル2つ、非侵襲心拍出量、呼気末二酸化炭素モニタ、体温計を備える
  • 中央監視ステーションで全患者の心電図・呼吸・循環データをリアルタイム表示
  • ボリュームポンプ4〜6台/ベッド、機械式呼吸器1台/2ベッド、動脈内バルーンポンプ1台/3ベッド
  • 血液透析装置、除細動器(1台/3ベッド)、外部ペースメーカー(1台/6ベッド)
  • 一時的ペースメーカー(VVI/AAI)3〜4台/6〜8ベッド、デュアルチャンバー(DDD)1台/同上
  • モバイル心エコー装置(経食道エコー対応)と血栓測定装置、血糖測定キット、X線装置

一部病院では救急部に「ハート・コマンドセンター」を設置し、上記機器を集約していますが、CCU が救急室に近接していれば必須ではありません。

ICCU ベッドの仕様

各ベッドは上下・頭部・脚部の角度調整が可能で、酸素・真空・加圧空気供給が備わっています。感染症患者用に少なくとも1床は負圧または隔離対応とします。

スタッフ配置

医師は3〜4名の患者につき1名配置し、部門長は急性心臓ケアの専門資格を有する認定心臓専門医とします。

ユニット構造

CCU は病院内の独立した棟とし、ICCU は個室、Intermediate Care は最大3名まで同室とします。感染症患者用の単室を最低1室確保し、ICCU 用手術室は面積25㎡以上、壁は洗浄可能な高さ2m の素材を使用します。ICCU は救急室、一般ICU、カテーテル室、手術室に近接させることが望ましいです。

医療研究(Medical Care, Issue 2)によれば、心疾患患者が直接CCU に入院した場合、死亡リスクが有意に低下することが示されています。

医療施設 - 関連記事