MRIでFLAIRシーケンスが使用される理由
はじめに
磁気共鳴画像法(MRI)は、脳を含む人体全体を高解像度で撮像できる技術です。撮像部位や診断目的に応じて様々なシーケンスが用いられますが、その中でも「Fluid Attenuated Inversion Recovery(FLAIR)」シーケンスは、特に脳の画像診断で重要な役割を果たします。
液体シグナルの抑制
FLAIRシーケンスは体内の液体から生じる信号を抑制します。具体的には、脳脊髄液(CSF)の信号を暗くし、画像上で液体が占める領域を目立たなくします。これにより、液体によるノイズが減少し、他の構造がより鮮明に映ります。
病変の可視化
従来のMRIシーケンスでは、明るい液体シグナルが病変を隠してしまうことがあります。FLAIRによる液体抑制により、白質病変や脱髄病変がはっきりと描出されます。特に多発性硬化症(MS)の診断においては、FLAIR画像が不可欠とされています。
脳梗塞の評価
脳梗塞は血流が阻害されることで起こり、早期診断が治療成績に直結します。1996年の研究(Michael Brant‑Zawadzki ら)では、FLAIRシーケンスが脳梗塞の評価において他のMRI手法よりも優れていることが示されました。急性期の梗塞領域はFLAIR画像で明瞭に識別でき、臨床的判断を助けます。
まとめ
FLAIRシーケンスは液体シグナルを抑制し、病変や梗塞部位を明瞭に描出することで、脳の診断において重要なツールです。
