COVID-19は肺にどのような影響を与えるか

COVID-19が肺に及ぼす影響

COVID-19(SARS‑CoV‑2)感染は、主に呼吸器系、特に肺にダメージを与えることが知られています。ウイルスが肺に侵入し、増殖し、炎症を引き起こす過程でさまざまな症状や合併症が生じます。以下に、肺に起こる主な変化を解説します。

1. ウイルスの侵入

SARS‑CoV‑2は呼吸器粘膜から体内に入り、肺細胞表面にあるACE2受容体に結合して細胞内に侵入します。

2. 初期増殖

肺細胞に取り込まれたウイルスは急速に増殖し、多数のウイルス粒子を産生します。この過程で細胞が損傷し、炎症反応が始まります。

3. 肺の炎症

ウイルス増殖に伴い免疫系がサイトカインやケモカインといった炎症性分子を放出します。結果として肺組織に液体がたまり、肺胞壁が肥厚します。

4. 肺胞の損傷

酸素と二酸化炭素のガス交換が行われる肺胞が炎症により傷つき、細胞が壊死します。これにより酸素供給が低下します。

5. 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)

重症例では肺胞損傷が広範囲に及び、ARDSを引き起こします。肺が水分で満たれ、血中酸素濃度が急激に低下し、人工呼吸器による集中治療が必要になることがあります。

6. ガス交換障害

炎症と損傷により酸素と二酸化炭素の交換が妨げられ、低酸素血症(血中酸素濃度低下)を招きます。息切れ、倦怠感、意識混濁などの症状が現れ、最悪の場合は呼吸不全に至ります。

7. 線維化と瘢痕形成

回復過程で肺組織が線維化し、瘢痕が残ることがあります。軽減することもありますが、永続的な肺機能低下につながるリスクがあります。

8. 長期的な後遺症

急性期が過ぎても、呼吸困難、運動耐性低下、咳、疲労感などの症状が数か月以上続く「ロングCOVID」やPASC(Post‑Acute Sequelae of COVID‑19)と呼ばれる状態が報告されています。正確なメカニズムは現在も研究中です。

多くの人は軽症で回復しますが、ワクチン接種やマスク着用、ソーシャルディスタンス、手指衛生などの予防策は重症化リスクを大幅に下げる重要な手段です。

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