高気圧酸素療法(HBOT)の概要と適応症
高気圧酸素療法とは
高気圧酸素療法(Hyperbaric Oxygen Therapy、HBOT)は、密閉されたチャンバー内で大気圧以上に酸素を供給する医療法です。チャンバー内に入ることで圧力が上がり、血液や組織により多くの酸素が溶け込みます。この酸素の増加が組織の酸素化を促進し、特に傷害部位の回復を助けます。
主な適応症
軟部組織感染症
糖尿病や血管障害に起因し、治りにくい創傷に対してHBOTが有効です。手術や外傷後に発生しやすい感染症は、低酸素環境で増殖する嫌気性菌が原因となります。高濃度酸素を供給することで、菌の増殖を抑制し、周囲組織の破壊を防ぎます。
貧血(輸血不能な場合)
血液輸血ができない患者(医療的・宗教的理由)に対し、HBOTは酸素運搬能力を一時的に高めます。赤血球数は増えませんが、血液中に溶け込む酸素量が増えるため、体全体への酸素供給が改善され、赤血球生成までの時間を支援します。
脳膿瘍
血液脳関門を通過しにくい抗生物質の代わりに、HBOTは膿瘍部位の酸素濃度を上げ、細菌の死滅を促進します。また、白血球の機能が向上し、感染に対する免疫応答が強化されます。手術的に膿を除去するリスクを低減できる点もメリットです。
治療手順
まず医師と相談し、適切な治療計画を立てます。一般的なスケジュールは、1回90分、週5日、計30回のセッションです。治療中はチャンバー内に入り、酸素が流入する音とともに離陸時のような圧力を感じます。テレビ視聴やリラックスが可能で、看護師が外部から安全を確認します。安全上、チャンバー内への持ち込みはジュエリー、雑誌、コンタクトレンズなどは禁止されています。
