イリドロジー(虹彩診断)チャートについて
歴史
ハンガリーの医師イグナツ・フォン・ペチェリ(1826‑1911)は、子供の頃に足を折ったフクロウを助けた際、目に縞模様を見つけました。数十年後、同じような足の骨折患者の目に同様の縞模様を確認し、虹彩診断(イリドロジー)への興味を持ちました。ドイツで「Augendiagnostik(眼診断)」として広まり、1950年代にアメリカのカイロプラクターが講習を行い、米国でも普及しました。
理論・仮説
イリドロジストは、虹彩の色、質感、色素斑の位置が体内の臓器や疾患と対応すると主張します。そのため、各部位と病気を結びつけたチャートが作られました。アメリカにイリドロジーを紹介したカイロプラクター、バーナード・ジェンセンは、従来の西洋医学よりも多くの診断情報が得られると主張しました。
種類
1930年代の初期チャートでは、虹彩の内側が胃の健康、外側が脳の健康に対応するとされていました。現代のチャートは数十のゾーンに分割され、各ゾーンが特定の臓器や症状に結びつけられています。しかし、米国やカナダではイリドロジーは規制対象外であり、標準となる公式チャートは存在しません。
識別方法
初期の実務者は懐中電灯や拡大鏡で虹彩を観察していましたが、現在はカメラやスリットランプ顕微鏡、さらには専用のコンピュータ解析ソフトが使用されています。とはいえ、光の入射角度により虹彩の色や模様が変化しやすく、再現性のある診断は困難です。
専門家の見解
代替医療の中でもイリドロジーは検証がしやすい分野です。多数の科学的研究により、イリドロジーが疾患を診断できる精度はランダムな推測と同等であることが示されています。例えば、胆嚢疾患の有無を診断する実験では、全てのイリドロジストが患者を区別できませんでした。医学界はイリドロジーに科学的根拠がないことに概ね合意しています。
