刺さない甲虫たち

有名な生物学者J.B.S.ハルデンは、地球上の生命を創造したとすれば「甲虫が大好きだったに違いない」と語った。甲虫は35万種以上、昆虫全体の約40%を占めるが、刺す器官を持つ種は存在しない。

クヌギムシ(Stag Beetle)

オス同士の闘争で使われる枝分かれした大顎が特徴で、鹿の角に似ていることから名付けられた。人間の皮膚を噛み切ることはできるが、通常は軽い痛み程度で自然に治癒する。森林の腐木分解に貢献し、日本では飼育が趣味として楽しまれている。

ブリスターベトル(Blister Beetle)

体液(ヘモリム)に含まれる成分が皮膚に水ぶくれを起こす。圧迫や摩擦で体液が放出され、腕や首に水ぶくれができることがあるが、痛みは軽く、基本的な応急処置で自然に回復する。夜間に街灯に集まるが、接触だけで大量放出は起きにくい。

爆発甲虫(Bombardier Beetle)

アフリカ産のこの甲虫は、沸騰した有毒液を噴射し、音とともに爆発音を発する防御機構を持つ。液は皮膚を刺激しやややけどを起こすが、人間に重大な被害は少ない。一方、捕食アリに対しては致命的であり、この高度な防御は創造論の議論材料にもなる。

肉食性甲虫(Dermestid)

死骸に生息し、動物の遺体を効率的に食べ尽くす。生きた肉を食べることはなく、人間に直接的な危害はないが、死肉や皮革、紙類をも食害するため、博物館では標本の「骨化」に利用される。一方で管理が甘いと大量に食べ尽くす危険がある。

昆虫咬傷 - 関連記事