肝臓がんの実態と対策
世界で毎年約100万人が肝臓がんで死亡しています。米国では2008年に約2万1千人が診断され、うち1万8千人が死亡しました。治癒は難しいものの、早期に診断すれば生活の質を保ちつつ生存期間を延ばすことが可能です。
概要
米国国立がん研究所によると、肝臓がんは米国では比較的まれですが、アジアやアフリカでは頻繁に見られます。男女比は約2対1で男性に多く、肝臓は血流が豊富で多くの機能を担うため、他のがんが転移しやすい臓器でもあります。発症年齢は幅広いですが、診断の平均年齢は60~70歳です。治療はがんのステージに応じて選択されます。
タイプ
肝臓がんは主に「原発性」と「転移性(二次性)」の二つに分けられます。原発性肝臓がんは肝細胞から発生する肝細胞癌(HCC)と、胆管から発生する胆管癌(胆管細胞癌)があります。転移性肝臓がんは、胃・膵臓・乳がんなど他臓器のがんが血流やリンパ系を介して肝臓に転移したものです。転移性がんの方が診断件数は多くなります。
症状
肝硬変などの基礎疾患がある場合は症状が早く現れますが、そうでない場合は初期症状が乏しく、進行した段階で初めて気付くことが多いです。主な症状は倦怠感、黄疸、食欲不振・嘔吐、腹部膨満感、上腹部から背部にかけての鈍い痛みなどです。腫瘍が大きくなるにつれて症状は顕在化します。
ステージ
治療方針を決めるためにまずがんのステージを評価します。がんは5段階に分類されますが、治療上は以下の3つにまとめられます。
- ①局所切除可能:がんが肝臓に限局し、外科手術で完全に切除できる段階。
- ②局所進行(切除不可):がんは肝臓に留まっているが、手術だけでは全摘出できない段階。
- ③進行期:がんが肝臓以外へ転移した段階。
治療法
治療は年齢・全身状態・腫瘍の大きさ・位置・ステージなど多くの要因で決まります。早期であれば手術、化学療法、放射線療法が選択肢となり、根治の可能性があります。進行期の場合は臨床試験への参加や緩和ケア(疼痛管理など)で生活の質を高めることが中心です。転移性肝臓がんは、転移元の原発がん(例:乳がん)に対する治療が行われます。
予後
進行期に診断された場合、平均余命は3〜4か月とされています。治療を受けた患者の平均余命は6〜18か月です。早期に手術でがんを除去できた患者の約30%は5年生存が可能で、稀に完全に治癒する例もあります。ただし、個々の患者の体質やがんの特性により予後は大きく異なるため、すべてのケースが同じとは限りません。
