HDR ブラキセラピーとは何か?
がんという言葉は、最も強い意志を持つ人々さえも恐れさせます。がんと診断されると、治療法や化学療法、放射線治療が頭をよぎり、本人だけでなく家族にも大きな影響を及ぼすことが心配になります。HDR ブラキセラピーは、体内に放射線源を直接埋め込んで行うがん放射線治療の一種で、腫瘍に極めて近い位置から照射できる点が特徴です。
定義
ブラキセラピーは、放射線源を腫瘍内部または腫瘍の表面に直接配置する内部放射線治療です。主に低線量率(LDR)と高線量率(HDR)の2タイプに分かれます。LDR は放射線源を長期間体内に残す永久的な治療で、HDR は医師が決定した短時間だけ放射線源を留置し、すぐに除去する一時的な治療です。
HDR と LDR の違い
LDR ブラキセラピーは、放射線源を体内に固定したまま長期間放射し続けるため、位置の調整や再配置がほとんどできません。一方、HDR は一時的に放射線源を留置し、治療中に位置を変えることが可能です。これにより、腫瘍の形状変化や複数部位への照射が柔軟に行えます。
LDR は永久的に体内に留めるため、放射線源が予期せぬ位置に移動した場合の除去は困難です。HDR は数分間の照射で終了し、すぐに放射線源を取り出すため、時間経過による位置ずれのリスクがほとんどありません。
有効性
HDR ブラキセラピーは前立腺がん、乳がん、頭頸部がん、胆道がんなど多くのがん種で効果が確認されています。CET がんセンターの研究では、腫瘍の完全寛解率が 90% に達することが報告されており、がん制御に有力な手段と評価されています。
治療の流れ
患者ごとに最適なプランが作成され、治療時間は個々に異なります。手術室で麻酔下に行われ、腫瘍部位に応じて全身麻酔または局所麻酔が選択されます。医療スタッフは治療部位を清潔にし、細い針やカテーテルを挿入します。X 線で位置を確認した後、カテーテルを HDR 装置に接続し、数分間の放射線照射を実施します。照射後にカテーテルを抜き、準備開始から患者が退室するまで通常約 2 時間です。
メリット
HDR ブラキセラピーは短時間で完了するため、患者の入院期間が短くて済みます。内部臓器を保護しながら治療できるため、臓器機能への影響が少なく、副作用も比較的軽微です。また、照射前に放射線量が正確に算出されるため、過剰照射のリスクを最小限に抑えることができます。
