上腕神経叢は脊髄から腕へ直接信号を送る複雑な神経束です。この神経叢が損傷すると、腕や手の機能が部分的または完全に失われることがあります。関節鏡下肩手術は小さな切開で行われますが、手術自体や麻酔時に使用される神経ブロックによって上腕神経叢が傷つくリスクがあります。上腕神経叢の損傷回復には手術とリハビリテーションの組み合わせが必要になることがあります。

上腕神経叢とは

上腕神経叢は、肩の上部から腕・手に至るまで伸びる神経の束で、脊髄から分岐した複数の根(神経)から構成されます。これらは幹(トランク)となり、さらに枝(フラクチュア)へと分かれて指先まで広がります。神経束は肩甲骨付近で密集し、腕全体の感覚と運動を制御しています。

上腕神経叢の損傷

転倒や衝突などの外傷、特定の疾患や遺伝的異常、さらには難産時に新生児の上腕神経叢が伸びすぎて損傷することがあります。損傷の症状は、腕の痛みや灼熱感、しびれ、筋力低下、運動制限など多岐にわたります。重度の場合、腕が短縮したり、時間とともに外観が変化したりすることもあります。

関節鏡下肩手術とは

関節鏡下手術は、数ミリの小切開から内視鏡と専用器具を用いて行う低侵襲手術です。肩関節の筋肉や腱の損傷修復、損傷組織の除去、関節の安定性回復を目的とします。小さな切開により周囲組織への二次的なダメージを最小限に抑えることができます。

リスク

米国国立衛生研究所(NIH)によると、関節鏡下肩手術は神経損傷のリスクを伴います。手術後に腕の筋力低下や肩の硬直が続く場合、上腕神経叢が損傷している可能性があります。また、手術時に使用される頸部神経ブロック(インタースカリーネ上腕神経叢ブロック、ISB)が神経に直接ダメージを与えることも報告されています。

治療

軽度の上腕神経叢損傷は自然に回復することがありますが、重度の場合は神経移植や神経移行術が必要です。外科的に損傷部位を修復した後、理学療法や作業療法で関節可動域を保ち、日常生活動作の再訓練を行います。適切なリハビリテーションは機能回復と疼痛軽減に重要です。