進行性核上性麻痺(PSP)の治療法
診断の課題
PSPはかつてパーキンソン病の一種と誤診されていました。現在でも、症状が現れるとパーキンソン病や認知症と診断されることが少なくありません。誤診されやすい症状には、言語や嚥下障害、筋硬直、動きのぎこちなさ、物忘れ、不安、感情の急変などがあります。一方、PSP特有の症状として、眼球の焦点を制御できないことや、後方へ倒れやすいバランス障害があります。特に下を見ると視界が乱れることが顕著です。これらの症状がある場合は、早めに医師の診察を受けましょう。
適応治療
PSPの薬物療法は、主に他の神経疾患向けに開発された薬剤を転用しています。診断後、医師はパーキンソン病治療薬を処方することが一般的です。これらの薬は脳内のドーパミン濃度を上げ、信号伝達を改善します。代表的な薬剤はアマンタジン、レボドパ、ドーパミン作動薬です。約30%の患者でバランスや動きの改善が見られますが、効果は1〜2年で徐々に減衰します。
また、原因は不明ですが、特定の抗うつ薬もPSPの症状緩和に有効とされています。例としてアミトリプチリン、フルオキセチン(プロザック)、イミプラミン(トフラニル)があります。薬剤選択は医師と十分に相談してください。
追加の療法
薬物療法に加えて、以下のリハビリや補助的治療が用いられます。
- 理学療法:運動制御を維持し、転倒リスクを低減。
- 言語療法:嚥下障害や発話困難への対策。
- プリズムレンズや遠近両用眼鏡:眼球の焦点調整を助ける。
- ボツリヌストキシン注射(ボトックス):眼瞼痙攣を抑制し、まばたきの過剰を改善。
生活様式の変更とサポート
日常生活での工夫も重要です。
- バランスが不安定な場合は、重み付きの杖や歩行器を使用して転倒防止。
- 転倒しやすい箇所に手すりを設置し、住宅環境を安全化。
- 眼瞼の過剰なまばたきで乾燥が生じたら、市販の人工涙液で潤いを補う。
- PSP患者向けのサポートグループに参加し、同じ境遇の仲間と情報交換。
- 家族との絆を保ち、心理的な支えを確保することが、症状の進行に対抗する大きな力となります。
