高圧酸素療法(HBOT)のがん治療への活用
高圧酸素療法(HBOT)は、患者が密閉されたチャンバー内で純酸素を吸入し、通常の大気圧の2〜3倍に加圧した状態で行う治療法です。近年、放射線治療後の副作用軽減や、がん患者の症状緩和に有望とする研究結果が報告されていますが、がんそのものの根本治療としては、従来の外科・放射線・化学療法と併用する補助的な位置付けに留まります。
使用目的
HBOTは、がん治療の補助として、放射線障害や創傷治癒の促進を目的に使用されます。必ず、資格を有する医師の監督下で実施し、標準治療を置き換えるものではありません。現在、MedicaidやMedicareが一部適応症に対して保険適用を開始していますが、がん自体の治療に対する保険適用はありません。
治療の流れと期待できること
治療は単人用チャンバーまたは複人数用チャンバーで行われます。単人用は透明なプラスチック製の約2メートル長のチューブで、患者はパッド付きのテーブルに横たわりチューブに入れられます。複人数用は広い空間で、横になるかベンチに座るかは施設の指示に従います。純酸素が徐々に加圧され、患者は通常通り呼吸しながらリラックスします。加圧に伴い耳の圧迫感や軽い不快感が生じることがありますが、圧力を少し下げることで緩和できます。セッションは30分から2時間程度で、終了時には技師がゆっくりと減圧します。
リスクと注意点
HBOTには以下のようなリスクがあります。
- 耳や副鼻腔の痛み、圧迫感
- 疲労感、低血糖
- 数週間続く近視の一時的な悪化
- 閉所恐怖症による不安発作
特に、肺の虚脱、シスプラチンやアドリアマイシンなどの化学療法を受けている患者、妊娠中の女性、喘息持ちの方は重篤な副作用が起こる可能性があります。治療前に必ず医師とリスクについて相談してください。
参考:Mayo Clinic、American Cancer Society(cancer.org)など。
