腹部大動脈瘤の定義と概要
動脈瘤とは、動脈やその他の血管の壁が拡張したり薄くなったりする状態です。大動脈瘤には、胸部・腹部・頭蓋内などさまざまな部位がありますが、特に腹部大動脈瘤は60〜90歳代の男性に多く見られます。多くは腎臓レベル以下に発生しますが、正確な原因はまだ解明されていません。破裂すると急激な内部出血を起こし、ショックや死亡に至ります。早期に診断できれば、治療によって予後を改善できる可能性があります。
症状
腹部大動脈瘤が疑われる患者は、仰向けに寝たときに腹部で心拍を感じる、または大動脈走行に沿ったしこりや腫れを触知することがあります。腎臓の下部、胸骨下端からへその上部にかけての領域で膨らみを感じることが多いです。血栓により血流が阻害され、足指が青くなる「ブルートゥーズ」も報告されています。腹部の痙攣や痛み、吐き気・嘔吐を伴うこともあります。背部や腹部の激しい痛みで前屈みになるような症状は、破裂の前兆と考えられます。多くの患者は無症状のままです。
診断
腹部大動脈瘤は、胸部X線、血管造影、MRI(磁気共鳴画像)などで評価します。CT(コンピュータ断層撮影)は瘤の位置、サイズ、長さを正確に把握でき、触診でも腹部上部の腫瘤を確認できることがあります。
治療・管理
早期に発見された場合は、血圧管理や降圧薬の使用で瘤の拡大を抑制します。直径が5cm(約2インチ)を超える場合は外科的修復やステント留置が検討されます。
原因
動脈壁が薄くなる要因として、コレステロールの沈着による血管硬化、遺伝的要因、高血圧などが挙げられます。現在のところ、動脈瘤全般の正確な原因は不明です。
予防・対策
血圧とコレステロールを正常範囲に保つことが予防の基本です。低脂肪食や禁煙が推奨されます。
