胎児ヘモグロビン(HbF)とは?
概要
胎児ヘモグロビン(HbF)は、ヒト胎児および新生児における主要なヘモグロビンで、正常ヘモグロビンの50%〜90%を占めます。
合成と変化
妊娠約6週頃に合成が始まり、出生まで優勢なヘモグロビン型として存在します。出生後は徐々に成人ヘモグロビン(HbA)へと置き換わります。
構造
HbFは、αグロビン鎖2本(α2)とγグロビン鎖2本(γ2)からなるテトラマーです。
成人ヘモグロビン(HbA)は、α2とβ2(βグロビン鎖2本)から構成され、構造が異なります。
機能
HbFはHbAに比べて酸素親和性が高く、胎盤から胎児へ効率的に酸素を運搬します。
酸素親和性の高さは、γグロビン鎖がβグロビン鎖よりも酸素に結合しやすいことに起因します。
臨床的意義
一部の人では出生後もHbFの濃度が高いまま残ることがあります。これは「先天性胎児ヘモグロビン持続症(HPFH)」と呼ばれます。
HPFH自体は多くの場合良性ですが、稀に特定の血液疾患への感受性が高まることがあります。
医療利用
HbFは、鎌状赤血球症やβサラセミアなどの疾患に対する治療に利用されます。
これらの疾患では、異常なヘモグロビン(鎌状赤血球症のHbSやβサラセミアのβグロビン産生低下)が赤血球の形態異常や貧血、疼痛発作、臓器障害を引き起こします。
HbFを増加させることで、症状の緩和や全体的な健康状態の改善が期待されます。
