エイズ(AIDS)の主な合併症とは
エイズ(AIDS)はヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって免疫機能が徐々に低下する慢性疾患です。免疫が弱まると、さまざまな感染症や合併症が起こりやすくなります。以下に、エイズ患者に頻繁に見られる代表的な合併症をまとめました。
1. 日和見感染(Opportunistic Infections)
日和見感染とは、健康な人では症状を起こさない微生物が、免疫力低下により重篤な感染症となるものです。エイズ患者で特に多いものは次の通りです。
- 肺炎(Pneumocystis jirovecii pneumonia, PCP)
- クリプトスポリジウム症(Cryptosporidiosis)
- トキソプラズマ症(Toxoplasmosis)
- クリプトコッカス症(Cryptococcosis)
- カンジダ症(Candidiasis)
- カポジ肉腫(Kaposi's sarcoma)
- サイトメガロウイルス感染(CMV感染)
2. HIV関連認知障害(HAND)
HANDは、HIV感染が原因で神経系に障害が生じる状態です。主な症状は以下の通りです。
- 記憶力・集中力・判断力の低下
- 情報処理速度の遅延
- 運動協調性の障害
- 行動や感情の変化
3. HIV関連腎症(HIVAN)
HIV感染が直接腎臓にダメージを与える疾患で、進行すると腎不全に至り、透析や腎移植が必要になることがあります。
4. マイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス(MAC)感染
MACは、非結核性抗酸菌による感染症です。エイズ患者では肺炎や全身性の播種性疾患、消化器症状を引き起こすことがあります。
5. 消耗症候群(Wasting Syndrome)
体重減少・筋肉量減少・全身倦怠感が著しい状態で、栄養不良、吸収障害、ホルモンバランスの乱れ、発熱や感染による代謝亢進が原因と考えられます。
6. がん(Malignancies)
エイズ患者は特定のがんのリスクが高まります。主ながんは以下です。
- カポジ肉腫
- 非ホジキンリンパ腫
- 子宮頸がん
- 肛門がん
- 肝細胞がん
7. その他の神経系合併症
HAND以外にも、以下のような重篤な神経系感染症が見られます。
- クリプトコッカス髄膜炎
- 進行性多巣性白質脳症(PML)
- HIV脳炎
エイズ患者は定期的な医療チェックと、抗レトロウイルス療法(ART)によるウイルス抑制が重要です。早期に合併症を発見し、適切に治療することで、生活の質を大きく向上させることができます。
