胚移植と人工授精の違い
毎年、何千組ものカップルが不妊に悩んでいます。自然に妊娠できるはずだと期待している人にとって、予期せぬ不妊は大きな打撃です。男性パートナーがいない状態で家族を築く女性や、同性カップルが生物学的な子どもを持つケースも増えています。こうした方々は、いずれかの形で不妊治療を受けることになります。
不妊治療の基本
不妊治療にはさまざまな方法があります。まずは不妊専門医(生殖内分泌科医)を受診し、詳細な検査を受けます。診断が確定したら、医師と治療方針を相談します。主に「排卵誘発+人工授精」または「体外受精(IVF)」の二つに大別され、どちらの場合も排卵を促す薬剤が投与されます。
人工授精(AI)
人工授精は、パートナーの精子(またはドナー精子)を排卵期に子宮内へ注入する手技です。薬剤を使用している場合は血液検査や超音波で排卵タイミングを管理し、医師の指示で受診します。薬剤を使用しない場合は、排卵予測キットで排卵を確認し、医師に連絡して予約します。
手技は診療所で行われ、医師または訓練された看護師が実施します。スペキュラムを膣内に挿入し子宮頸部を確認した後、細いカテーテルを子宮内に通し、精子を注入します。注入時に軽い痙攣を感じることがありますが、すぐに収まります。注入後はカテーテルとスペキュラムを抜き、短時間安静にします。術後の注意点は必ず医師に確認してください。
新鮮胚移植(Fresh Embryo Transfer)
新鮮胚移植は体外受精の最終段階です。まず卵胞刺激ホルモンを注射し、卵巣内に複数の卵胞を成熟させます。医師が設定した基準に達したら、卵子採取手術を行い卵子を回収します。回収した卵子はパートナー(またはドナー)の精子と受精させ、受精胚を培養します。数日培養した胚を子宮内に戻すのが胚移植です。
胚移植は診療所で行われ、意識は保ったまま実施されます。必要に応じて鎮静剤(例:ジアゼパム)を投与し、子宮平滑筋をリラックスさせます。移植する胚の数や質は医師と相談し、通常は2~3個を選びます。余剰胚は凍結保存することが可能です。
凍結胚移植(Frozen Embryo Transfer)
凍結胚があり、自然妊娠が得られなかった場合は凍結胚移植が選択肢となります。エストロゲンとプロゲステロンを投与し子宮内膜を厚く整え、十分に発達したら凍結胚を解凍し移植します。
胚移植の手順
超音波で子宮の位置を確認しながら、特殊なカテーテルを子宮頸部から子宮腔まで挿入します。胚培養士が胚をカテーテルに装着したシリンジに入れ、医師に渡します。医師はシリンジをカテーテルに装着し、ゆっくりと胚を注入します。カテーテルとシリンジを抜いた後、胚が確実に移植されたか確認します。
移植後は医師の指示に従い、安静や性交渉の中止などの指示が出ることが一般的です。
