概要

タリウムは元素そのものでも、化合物でも極めて有毒です。化合物は水に溶けやすく、皮膚からも容易に吸収されます。タリウムは安定した元素であり、体内で分解されたり無害化されたりすることはありません。以下では、タリウム中毒の疑いがある場合の確認手順と治療法をまとめています。

タリウム中毒の主な症状

  1. 毛髪の抜け毛や抜け毛が進行することが最も特徴的です。また、足元が熱くなるような感覚(熱感)が現れることがあります。

  2. 下痢、嘔吐、四肢のしびれ・感覚異常といった症状も頻繁に見られます。

診断のポイント

  1. 医療機関での検査が必要です。心臓、腎臓、肝臓、肺、神経系への障害が血液検査や画像診断で示されることがあります。タリウム専用の検査で、皮膚からの吸収量が 0.1 mg/kg 以上であれば中毒が疑われます。

  2. 急性中毒の場合、早期にプラチナブルー(プルシアンブルー)を経口投与します。プルシアンブルーは体内のタリウムとカリウムを置換し、タリウムを含んだプルシアンブルーは便と共に排泄されます。

  3. 長期的な曝露が疑われる場合は、利尿剤や塩化カリウムでタリウムの排泄を促進します。血液中のタリウム濃度を下げるために血液透析が有効なこともあります。また、ジメルカプロール、EDTA、ペニシラミン、ヨウ化ナトリウム、チオウラシルなどが補助的に使用されますが、効果は限定的です。