ABCD2スコアと脳卒中リスクの評価
脳卒中は、迅速な治療が行われなければ重篤で長期にわたる後遺症を残す外傷性の疾患です。米国疾病予防管理センター(CDC)によると、脳卒中は米国で死亡原因第3位となっています。脳に血液を供給する動脈が血栓で閉塞するか、動脈が破裂した場合に発症し、脳への血流が途絶えて脳細胞が死滅します。ABCD2スコアは、医師が脳卒中リスクを迅速に評価するために開発された指標です。
一過性脳虚血発作(TIA)について
一過性脳虚血発作(TIA)は「ミニストローク」とも呼ばれ、脳卒中と同様の症状が現れますが、通常は24時間以内に自然に消失します。動脈が部分的に閉塞することで起こり、将来的に重度の脳卒中が起こる可能性を警告するサインです。救急医はABCD2ルールを用いて、患者をすぐに入院させるか、外来で経過観察するかを判断します。
ABCD2は頭文字語(アクロニム)です
ABCD2は以下の5項目の頭文字から構成されています。
- Age(年齢)
- Blood pressure(血圧)
- Clinical symptoms(臨床症状)
- Duration of symptoms(症状の持続時間)
- Diabetes(糖尿病)
各項目に0〜2点を付与し、合計点でリスクを分類します。0〜3点は低リスク、4〜5点は中リスク、6〜7点は高リスクと評価されます。
各項目の点数付け
- 年齢:60歳以上は1点
- 血圧:収縮期140 mmHg以上または拡張期90 mmHg以上は1点
- 臨床症状:構音障害は1点、片側の肢の麻痺は2点
- 症状の持続時間:≤9分は0点、10〜59分は1点、≥60分は2点
- 糖尿病:既往がある場合は1点
予測精度について
ABCD2スコアが脳卒中を予測できる精度は現在も研究が進められています。コロラド州サリダにあるHeart of the Rockies Regional Medical Centerの救急医、アラン・アダムス医師は「医学の領域では完璧な指標は存在しませんが、ABCD2は有用なツールです」と述べています。
時間が命を左右する
患者が脳卒中様症状で来院した際、最初に行うべきは血圧の管理です。その後、症状発症時間や臨床所見を収集し、スケールで評価します。CT検査で出血の有無を確認し、出血がなければ血栓形成を抑える抗凝固薬を投与します。症状が持続する場合は、脳卒中治療プロトコルに従い、できるだけ早く治療を開始することが回復の鍵です。症状がすぐに消失した場合はTIAとみなし、ABCD2スコアを算出して今後の管理方針を決定します。
