治療用超音波の安全注意点
治療用超音波は音波を利用して軟部組織の修復を促し、疼痛を軽減し、組織内部に深部加熱効果をもたらします。超音波装置は電流でアプリケータ内部の結晶を振動させ、組織に浸透する音波を発生させます。創傷の治癒促進にも有効で、いくつかの例外を除き、多くの怪我や疾患に対して安全かつ効果的な治療とされています。
治療用超音波の作用機序
治療に際しては、音波を皮膚から組織へ伝えるために、通常は水性ジェルなどのカップリング媒介剤が必要です。肘や手首、足首など不規則な部位の場合は、対象部位を水中に浸す方法が推奨されます。超音波は設定により加熱効果を生むため、施術中は超音波ヘッドを常に動かし続けることが重要です。一定位置に止めたままにすると、やけどや組織損傷の危険があります。治療時間は目的に応じて通常5〜10分程度です。
適応(効果)
治療用超音波は、組織に対して熱的効果と非熱的効果の二つがあります。
非熱的効果として、音波は組織内でキャビテーションと音響ミクロストリーミングを引き起こし、個々の細胞に対する微小マッサージ効果をもたらします。これにより組織の修復が効率的に進みます。この非熱的効果には安全上の問題はありません。
熱的効果には、血管拡張による血流増加、組織の柔軟性向上、疼痛緩和、筋痙攣の軽減、代謝活動の活性化などがあります。適切な機器設定により、熱的効果と非熱的効果を同時に得ることが可能です。ただし、熱的効果はやけどや組織損傷のリスクがあるため、正しい設定で使用する必要があります。
禁忌
以下の部位や状態に対しては、特別な安全対策が必要、あるいは治療自体が禁じられます。
- 感覚低下(しびれ)や血流障害がある部位
- 眼、耳、脊椎、精巣、脳、心臓
- 妊娠中の卵巣や腹部
- 急性損傷部位
- 小児の成長板(骨端)
- 悪性腫瘍やがん組織
- 開放創(傷口)
超音波の特性とそれが引き起こす効果は、これらの状態を悪化させたり、健康な組織に損傷を与える可能性があります。
留意点・併用療法
治療用超音波は、電気刺激と組み合わせて筋肉のトリガーポイントを緩和するなど、他の療法と併用できます。また、湿熱パックと併用すれば組織温度をさらに上昇させ、冷却と組み合わせ(非熱的設定)て炎症軽減や治癒促進に役立ちます。
稀に、薬剤を含んだクリームをカップリング媒介剤として使用することがあります。これは「フォノフォレシス」と呼ばれ、超音波の音波エネルギーで薬剤を組織内部に浸透させます。薬剤の安全な投与のため、必ず資格を有する専門家が施術します。フォノフォレシスは、痛みのあるトリガーポイントや腱炎、滑液包炎の治療に利用されます。
