75歳での歯周深部洗浄(ルートプランニング)に伴うリスクと対策

深部洗浄(ルートプランニング・キュレット)とは

歯周病が進行すると、歯を支える骨が歯肉の下で減少し、歯肉と骨の間に深いポケットができます。通常、健康な状態ではポケットの深さは3〜4mmですが、進行した場合は10mm以上になることもあります。このポケットは細菌や歯石の温床となり、さらなる炎症を引き起こします。深部洗浄は、超音波スケーラーと手用スケーラーを組み合わせて、ポケット内の細菌と歯石を除去する治療です。

僧帽弁逸脱症(MVP)と感染性心内膜炎のリスク

75歳以上の患者さんの中には、僧帽弁逸脱症(MVP)を抱えている方がいます。MVPは心臓の弁が正常に閉じない状態で、歯科治療中に血流に細菌が混入すると、感染性心内膜炎を引き起こす恐れがあります。心内膜炎は致命的になることもあるため、MVP患者は深部洗浄前に予防的抗生物質(プロフィラキシス)を投与し、術後も一定期間継続します。

ワルファリン(クマジン)服用患者の対策

高齢者は脳梗塞や血栓症の予防でワルファリン(クマジン)を服用していることが多いです。ワルファリンは血液凝固を抑制するため、深部洗浄中に過度の出血が起こりやすくなります。治療前に歯科医は主治医と連絡を取り、出血リスクを低減するために2〜3日間薬を中止してもらうことがあります。手術後は通常、当日夜にワルファリンの服用を再開できます。

治癒過程と術後の注意点

深部洗浄後は数日間、冷・熱刺激への過敏感や酸性食材による痛み、出血持続、歯肉の腫れ、食事や睡眠の困難を感じることがあります。高齢者は若年者に比べて治癒が遅くなる傾向があり、糖尿病や自己免疫疾患(例:ループス)などがあるとさらに回復が遅れます。歯科医院では、炎症を抑えるイブプロフェンや、必要に応じて強力な鎮痛薬(例:ビコジン、ノルコ)を処方し、感染防止のための抗生物質も併用します。


治療前に心臓や血液凝固状態、全身疾患について歯科医としっかり相談し、適切な予防策とアフターフォローを受けることが安全な治療への鍵です。

歯周病 - 関連記事