乳児の嚥下過程:3つの段階
大人は嚥下を当たり前と思いがちですが、実は筋肉の協調と発達が必要な複雑なプロセスです。妊娠15週目から胎児は吸啜(すうしょく)を始め、18週目には舌の前後運動が顕著になります。吸啜は乳児が液体を取り込み、嚥下へとつなげる重要な動作です。
口腔相(Oral phase)
最初の段階は口腔相です。乳児は唇、口蓋、舌を使って吸引し、液体をボーラス(塊)にまとめます。生後約3か月になると、舌の動きが発達し、固形に近いボーラスも舌で運べるようになります。
咽頭相(Pharyngeal phase)
第2段階は咽頭相で、これは自律的に行われます。ボーラスが咽壁に触れると、一連の反応が起こります。まず軟口蓋と咽頭が閉じて鼻腔への通路が遮断され、次に咽頭筋が収縮してボーラスを食道へ押し出します。同時に呼吸が止まり、声帯が閉じて誤嚥を防ぎます。研究では妊娠10週目の胎児でも咽頭嚥下が観察されています。
食道相(Esophageal phase)
第3段階の食道相も自律的です。ボーラスは食道の蠕動運動により胃へと送られます。
嚥下障害(Dysphagia)
嚥下障害は嚥下機能の異常全般を指します。早産児に多く見られ、吸啜力の低下や「吸啜‑嚥下‑呼吸」リズムの不調和が原因です。嚥下に問題があると誤嚥や栄養不良のリスクが高まるため、早期に小児科医の診察を受けることが重要です。
