白衣が感染拡大につながるメカニズムと対策
白衣は長年、医師や看護師の象徴として病院で使用されてきましたが、薬剤耐性菌(いわゆる「スーパーバグ」)の拡散を防げないことが問題視されています。英国では既に白衣やネクタイ、肘下のスクラブの着用を禁止し、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の感染拡大防止に取り組んでいます。米国でも同様に、白衣やスクラブの洗濯頻度を上げ、院外での使用を禁止する動きが広がっています。
白衣が汚染される仕組み
医師は診療中にカウンタートップやクリップボード、ペン、スタッフのコーヒーマシンなど多くの表面に触れます。また、患者にも頻繁に接触します。その手や手首が白衣の袖口に付着し、ポケットに入れた聴診器やペンに触れるたびに細菌が移ります。さらに、白衣を病院外で着用すると、外部の細菌を持ち込み、院内の細菌を拡散させてしまいます。
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)
MRSAは皮膚接触で感染するブドウ球菌の一種です。接触スポーツや過密な環境にいる人に多く見られますが、免疫力が低下した術後患者や高齢者では重症化しやすく、薬剤に耐性があるため治療が困難です。最悪の場合、致命的になることもあります。
Clostridium difficile(C. difficile)
C. difficileは糞便を介して表面から感染します。例えば、菌を付着させた手で何かの表面に触れ、次にその表面に触れた人が手を洗わずに食事をすると、腸に菌が入り下痢や大腸炎を引き起こします。重症例では死亡に至ります。
病院の方針変更
予算削減により、以前は病院が新しい白衣やスクラブを毎回洗濯して提供していましたが、現在は医療従事者が自分で洗濯するケースが増え、洗濯頻度が低下しています。その結果、1週間以上洗濯せずに白衣を着続けることもあります。感染率低減のため、白衣の着用禁止や院内での洗濯サービスの再導入が進められています。
自分を守る方法
入院中にできる予防策として、手洗いの徹底が最も重要です。ベッドにいる場合は、ハンドサニタイザーを手元に置いておきましょう。また、医師や看護師に手洗いを求める権利は患者にもあります。袖をまくる、ネクタイを外す、手袋を装着するなど、適切な防護具の使用をお願いしてください。
部屋の清掃は病院側の責任ですが、食事テーブルや電話機などの表面をリゾルや除菌シートで自分で拭くことも、菌の拡散を抑える有効な手段です。
