一般外科の歴史
トレパネーション(頭蓋穿孔術)
トレパネーションは、紀元前7300年頃に遡る最古の外科手術とされ、頭蓋骨に穴を開ける手技です。脳膜は残して脳を保護しました。主な目的は脳の腫れを軽減することとされますが、意識の向上をもたらすとする説もあります。現在、米国では違法であり、効果やリスクに関する研究は行われていません。
古代エジプト
紀元前3000年までさかのぼるエジプトの文献には、脳外科や口腔外科の技術が記されています。代表的なものは「エドウィン・スミス・パピルス」という外科書です。また、約2000年前の顎骨が発見され、膿瘍排出の手術が行われた痕跡があります。ミイラ作りの過程でも臓器を慎重に取り出し、壺に保存する手法が取られました。
ヒポクラテス
医学の父と称されるヒポクラテスは、紀元前400年に制定したヒポクラテスの誓いで、一般医は外科手術を行わず、外科は専門医の領域とすべきだと述べました。この誓いは現在でも西洋医学の倫理指針として広く用いられています。
スシュルタ(スシュラタ)
紀元前400年頃に活躍したインドの外科医スシュルタは、外科の父と呼ばれます。彼は『スシュルタ・サンヒタ』という数巻にわたる外科書を執筆し、外科手技や解剖学、傷の縫合など膨大な知見を残しました。原本はサンスクリット語ですが、翻訳版も存在します。
中世ヨーロッパ
13世紀初頭までにヨーロッパの多くの地域でヒポクラテスの誓いが受け入れられ、医師は一定年数の経験と教育を受けた後に外科手術を行うことが求められました。それ以前は外科は低い評価の医療と見なされていました。
ロジェリウス
ロジェリウスは中世ヨーロッパの外科史における重要人物で、ロジェリウス・サレルティナス、ロジャー・フラガルディなどの名でも知られます。1170年から1230年にかけて執筆された『外科の実践』は広く読まれ、切断された神経の再接合が可能であることを初めて指摘した医師の一人です。
麻酔と感染症
19世紀半ばまで外科手術は麻酔なしで行われ、痛みを和らげる手段はありませんでした。1840年代にクロロホルムなどの麻酔薬が導入されるまで、主に迅速な切断手術が中心でした。また、衛生管理が不十分で、術後感染が頻発していました。19世紀に入ると、ルイ・パスツールらの微生物学研究により、手術室の衛生が改善され、感染リスクが大幅に低減しました。
