手指衛生の遵守率を測定し、課題を克服する方法
はじめに
手指衛生とは、石鹸と水またはアルコール系消毒剤で手を清潔にすることを指し、病院や介護施設で感染防止の最も効果的な手段です。手指衛生の遵守は患者安全文化の重要な要素ですが、実際に遵守率を測定するのは容易ではありません。医療現場では主に「直接観察」「製品使用量の測定」「アンケート調査」の3つの方法が用いられます。
必要なもの
- 水
- 石鹸
- ハンドサニタイザー
- ペーパータオル
- ラテックス手袋
手順
1. 直接観察
観察対象、観察者、観察日時・頻度・場所を決定し、訓練された観察者が使用する標準手順と記録用フォーマットを作成する。
独立した観察者(例:業務上は医療チームに属さないスタッフ)を確保し、観察バイアスを減らす。
観察者は、使用した手指衛生製品、洗浄の徹底度、乾燥方法、手袋の使用、すべての機会で手指衛生が実施されたかを記録する。観察者の存在が行動に影響しないよう、できるだけ目立たないように指示する。
正しく手指衛生が行われた患者接触回数 ÷ 観察した全患者接触回数 × 100 で遵守率(%)を算出する。
2. 製品使用量の測定
約200回の手指衛生活動が観測できるまで観察し、観察時間で割って時間当たりの平均回数を求め、24時間で掛けて1日あたりの平均回数を算出する。
観察期間の患者数(患者数)を取得し、1日あたりの平均回数 ÷ 患者数で1患者あたりの1日平均回数を求める。
対象ユニットの月間使用量(石鹸・アルコール製品)を取得し、1回あたりの供給量で割って「使用回数(ヒット数)」を算出する。
1日あたりの患者当たり回数 × 月の日数 × 平均患者数で月間の手指衛生活動回数を算出し、総ヒット数 ÷ 総回数で遵守率を求める。
測定上の課題として、容器の残量が残っている、廃棄された、患者や家族が使用したなどで使用量が過大または過小になる可能性があることに留意する。
3. アンケート調査
紙、電子、電話、対面インタビューなど、調査実施形態を決定する。対象人数、場所、サンプルの複雑性を考慮する。
医療従事者、必要に応じて患者や家族にも調査を実施し、手指衛生に対する認識・態度・実践状況を収集する。
回答率が低いとバイアスが生じやすくなるため、十分な回答率を確保する。
結果を集計し、自己申告の偏り(過大評価)に注意しながら、回答者へ結果をフィードバックして意見が尊重されていることを示す。
