人工芝に潜む健康リスクと対策
歴史
1966年にヒューストン・アストロドームに初めて設置された「アストロターフ」は、当時は砂を充填した硬くて擦りやすいカーペットのような素材でした。その後、学校や地域のスポーツ施設でも広く採用され、米国には約3,500面のフルサイズ人工芝フィールドが存在するとSynthetic Turf Councilは報告しています。
問題点
初期の人工芝は排水が不十分で湿気がたまりやすく、細菌が繁殖しやすい環境となっていました。また、プラスチック表面が皮膚に火傷や擦り傷を引き起こし、細菌が数時間残留することが指摘されています。さらに、2008年のUSA Today報道によると、ニューヨーク・ニュージャージー州の一部古い人工芝は繊維中に高濃度の鉛が検出され、使用中止となった例があります。
健康リスク
米国疾病予防管理センター(CDC)は、人工芝でできた擦り傷が覆われないままになると、皮膚間の接触や共有タオル・機材を介してメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の感染リスクが高まると警告しています。2003年には、セントルイス・ラムズの選手5人が人工芝の擦り傷からMRSAに感染した事例が報告されました。
新素材の登場
現在の人工芝は、短いナイロンパイルから、長く柔らかくスポンジ状の繊維へと進化しています。基盤は砕石で、表面は砂やラバー粒子で埋められ、さらに吸水性の低いポリエチレンやポリプロピレン繊維が使用され、擦り傷を減らす設計となっています。抗菌剤を定期的に塗布できる製品も販売されています。
健康リスクの実証は少ない
一部の研究では、人工芝がMRSAの主要な感染経路であるという証拠は見つかっていません。ペンシルベニア州立大学が2006年に実施した調査では、20か所の新世代人工芝と2か所の自然芝を検査した結果、人工芝上にS. aureusは検出されず、自然芝の方が細菌数は約3倍高いと報告されています。Synthetic Turf Councilも、ニューヨークで実施された複数の独立した調査でゴム充填人工芝の安全性を裏付けています。
専門家の見解
ペンシルベニア州保健局疫学部長のスティーブン・オストロフ博士は、日光や雨、温度変化といった自然要素が水中細菌を死滅させるため、人工芝でも自然環境が細菌抑制に寄与すると述べています。
選手がMRSA感染を防ぐ方法
プレイ中にできた切り傷や擦り傷はすぐに洗浄し、清潔な絆創膏で覆いましょう。また、タオルや個人用具は共有せず、抗菌石鹸やハンドサニタイザーを使用することが重要です。
