有機化学汚染物質(POPs)の概要と影響
有機化学汚染物質(Persistent Organic Pollutants、通称POPs)は、植物・動物の食物連鎖を通じて蓄積しやすい化学物質です。農薬、工業製品、環境中の副産物として発生し、長期間にわたり環境や生体内に残留します。
農薬系汚染物質
第二次世界大戦中に大量生産が進んだPOPsは、作物を害虫や病原体から守るために農薬として広く使用されました。代表的なものにDDT、デクロレン、ディエルドリン、HCHなどがあります。これらは食物連鎖に残留し、先天性欠損、免疫・呼吸器障害、ホルモン異常などの健康被害を引き起こすことが明らかになりました。米国ではほとんどが使用禁止となっていますが、熱帯地域では病気を媒介する蚊の防除のためにDDTが現在も使用されています。
工業系汚染物質
工業用有機汚染物質は「意図的に製造」されたものとして分類され、主にポリ塩化ビフェニル(PCBs)が代表例です。PCBsは電気機器や自動車部品に耐熱・耐酸性を付与するために使用され、変圧器、油圧液、塗料添加剤、潤滑油などに含まれます。使用・廃棄時に大気や土壌へ放散し、長期間にわたり残留・蓄積して環境汚染を引き起こします。
副産物系汚染物質
副産物系汚染物質は「意図せずに生成」されるもので、プラスチックやPVCの製造、紙・繊維の処理過程でジオキシンが発生します。ジオキシンはガス状で大気中に拡散しますが、沈降して水・土壌に吸着し、海洋生物や植物食動物に蓄積されます。食物連鎖が進むほど濃度が高まり、最上位の捕食者に最大の影響を及ぼします。また、ゴミ焼却、医療廃棄物、タバコの煙などの燃焼でも同様の有機汚染物質が生成されます。
