海水中の油汚染除去に使われる材料
油は現代生活に欠かせない資源で、車の燃料や衣類の繊維(ポリエステルさえも石油由来)として利用されています。しかし、石油製品への需要増加に伴い、深海掘削や原油の海上輸送などが増え、油流出事故が発生しやすくなっています。こうした事故の影響を最小限に抑えるために、海水から油を除去するためのさまざまな材料が開発・利用されています。以下では、主な3つの対策材料を紹介します。
分散剤
分散剤(ディスパーサー)は、原油を微小な粒子に分解し、波や潮流の作用で自然に分解されやすくする化学薬品です。軽質・中質油は重油に比べて分散しやすいため、流出直後の軽い成分が蒸発する前に分散剤を散布します。これにより、油膜の拡大を抑え、自然分解を促進します。
ゲル化剤
ゲル化剤(固化剤)は、油をゴム状の固体に変化させ、ネットやスキマーで回収しやすくする薬品です。1ガロンの油を固化するには最大で約3ガロンのゲル化剤が必要となるため、数百万ガロン規模の大規模流出には実用性が低いという課題があります。
生物学的剤
生物学的剤は、微生物(細菌、酵母、真菌など)やそれらの活動を促進する化学物質を利用して、油の自然分解(バイオディグラデーション)を加速させます。油は自然環境下では数年かけてゆっくり分解されますが、栄養素(窒素、リンなど)を供給する肥料散布や、分解能の高い微生物を直接投入するシーディングにより、分解速度を大幅に向上させることができます。
以上の材料は、流出規模や油の性質に応じて組み合わせて使用され、海洋環境への影響を最小限に抑えるための重要な手段となっています。
