一般的に使用される腹部切開の種類と特徴
腹部手術では、手術対象や患者の状態に応じて最適な切開部位が選ばれます。ここでは、代表的な腹部切開の種類と主な適応手術について解説します。
上部正中切開(Upper midline incision)
・胸骨柄から恥骨まで縦に走る正中切開。
・ほとんどの腹部臓器へ直接アクセスできる。
・探査開腹術、大規模腹部手術、臓器移植などに頻用。
下部正中切開(Lower midline incision)
・臍部から恥骨まで縦に走る正中切開。
・上部正中切開と同様だが、手術距離が短くなる。
・子宮全摘術、膀胱鏡検査、前立腺摘出術など骨盤臓器の手術でよく用いられる。
横切開(Transverse incision)
・下腹部、主に恥骨上部で水平に切開。
・骨盤臓器や下部腹部構造へのアクセスに優れる。
・美容整形(腹部形成術)、帝王切開、特定の婦人科手術で利用される。
肋下切開(Subcostal incision)
・肋骨縁直下で水平に切開。
・肝臓、胆道系、膵臓など上部腹部構造へのアプローチに適する。
・腹腔鏡下胆嚢摘出術や肝生検などで頻繁に使用。
右/左上腹四半分切開(Right/Left upper quadrant incision)
・腹部の右上または左上四半分で斜めまたは水平に切開。
・肝臓、胆嚢、腎臓、脾臓など該当四半分の臓器へアクセスできる。
・胆道手術、胃瘻造設、腎生検、副腎摘出術などで利用。
Pfannenstiel切開(Pfannenstiel incision)
・恥骨上部の横切開で、ビキニラインに沿う形状。
・主に美容外科、子宮全摘術、帝王切開で使用。
・正中切開に比べて傷跡が目立ちにくく、審美的に優れる。
腹腔鏡用切開(Laparoscopic incisions)
・最小侵襲手術で使用する小さな切開部位。
・手術内容に応じて腹部に数カ所、サイズや位置が変わる。
・カメラポートや手術器具の挿入口として機能する。
これらは代表的な腹部切開の例であり、実際の切開選択は手術部位、手術内容、外科医の好み、患者の状態などを総合的に判断して決定されます。
