代理ミュンヒハウゼン症候群(MSbP)の起源と定義
概要
代理ミュンヒハウゼン症候群(Münchausen syndrome by proxy、MSbP)または他者に課す虚偽性障害(FDIA)は、介護者が子どもや高齢者、障害を持つ人などの健康状態を偽造・誘発し、注目や同情を得ようとする精神医学的障害です。
起源と名称の由来
1977年、英国の小児科医ロイ・メドウがこの症候群を初めて報告しました。メドウは、18世紀のドイツ貴族バロン・ミュンヒハウゼンが誇張された奇想天外な物語で知られることから、同様に事実と異なる話を作り上げるという点で「ミュンヒハウゼン症候群 by proxy」という名称を付けました。
疫学と現状
当初は極めて稀な障害と考えられていましたが、近年では認知が進み、入院患者の約1〜2%がMSbPの被害に遭っている可能性があると推定されています。
診断のポイント
介護者が子どもの症状を非常に説得力を持って説明するため、診断は困難です。しかし、次のような兆候が見られた場合は疑うべきです。
- 子どもに複数の医療問題があり、症状が急に出現・消失し、介護者不在時に改善する。
- 症状を裏付ける客観的証拠が欠如している。
- 介護者が子どもの医療問題に過度に執着し、注目を得ることに快感を覚えている様子が見られる。
- 医師の診察や治療を拒否・妨害しようとする。
治療と対応策
MSbPが疑われる場合は、子どもと介護者を精神保健専門家に速やかに紹介し、評価を受けさせることが重要です。治療は主に介護者に対する心理療法と、子どもの安全を確保する保護措置で構成されます。また、必要に応じて子ども自身にもカウンセリングを提供します。
