感覚を備えた義足の未来
幻肢感覚
切断患者はしばしば「幻肢」の感覚を報告します。手や腕を失っても、指先が触れたように感じたり、痛みを感じることがあります。この現象は、脳が切断部位の神経に信号を送るためです。感覚を備えた義肢は、こうした神経に直接接続し、触覚情報を伝える仕組みです。
神経移植
感覚義肢を実現する第一歩は、切断した四肢の神経を胸部に移植することです。義肢側に取り付けたセンサーが電極を通じて移植された神経末端に情報を送ります。これにより、軽いタッチや温度変化を感じ取ることが可能になります。
技術の進展
欧州連合は「Smart Hand」プロジェクトに資金提供し、感覚と駆動機能を併せ持つ義手を開発しています。前腕のセンサーが動作指示と同時に物体の触感を伝えます。
米国では、ペンタゴンが軍事用義肢の研究を支援。Deka社はジョイスティック操作の義腕を開発し、胸部に移植された神経束へ圧力・動き・温度情報を送ります。
課題と今後の展望
新技術には課題が付きものです。肘下の義肢は比較的進んでいますが、上腕切断者向けの制御はまだ不十分です。また、指先ごとの微細な圧力差を正確に伝える電極配置は難しく、現在の義肢は約2年で交換が必要です。信頼性と長寿命を両立させる研究が求められます。
