脳のグルコース不足はてんかんを引き起こすのか?

はじめに

脳は主にグルコースをエネルギー源として利用しています。低血糖(低血糖症)により脳内のグルコースが不足すると、感受性の高い人で発作やてんかんを誘発することがあります。

1. 神経細胞のエネルギー必要性

脳のニューロンは、細胞呼吸でグルコースを分解し、ATP(アデノシン三リン酸)を生成します。ATPはイオンポンプやシナプス伝達に不可欠で、連続的なグルコース供給がなければニューロンは正常に機能できません。

2. エネルギー不足とイオンポンプの機能不全

低血糖で脳内グルコースが急激に減少すると、ATP産生が低下し、ナトリウム‑カリウムポンプなどのイオンポンプが働かなくなります。これによりニューロンの静止膜電位が維持できなくなります。

3. イオンバランスの崩壊と過剰興奮

ポンプ機能が失われると、ナトリウムイオンが細胞内に蓄積し、カリウムイオンが漏れ出します。イオン勾配が乱れることでニューロンは過剰に興奮しやすくなり、異常な発火が起こります。

4. 過剰興奮と発作の発生

興奮状態が広がると、ニューロン同士が同期して異常な電気放電を起こし、これが発作(せん seizure)として現れます。低血糖が続くほど放電は大規模になりやすいです。

5. 低血糖性発作とてんかん

既にてんかんの素因がある人や、糖代謝に異常がある糖尿病・インスリノーマなどの患者では、低血糖が直接的な発作のトリガーとなります。発作の重症度や持続時間は、低血糖の程度と個々の感受性によって変わります。

その他の要因

すべてのてんかんが低血糖によって起こるわけではありません。てんかんは遺伝的要因、外傷、感染、発達異常、代謝障害など多様な原因で発症します。低血糖性発作は、主に糖代謝の異常がある人に見られる二次的な現象です。

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