小脳腫瘍の症状と治療法
概要
小脳は頭蓋骨の後方、脳幹のすぐ上に位置する脳の第二の大きさの部位で、姿勢・平衡感覚・歩行や会話などの複雑な随意運動を司ります。小脳に腫瘍ができると、これらの機能が障害され、頭痛、吐き気・嘔吐、運動失調(協調運動障害)などの症状が現れます。症状は腫瘍の種類・大きさ・部位、増殖速度によって異なります。
識別
小脳の脳腫瘍は、異常細胞の集団で構成され、良性(非癌性)と悪性(癌性)があります。原発性(小脳自体で発生)と転移性(他の臓器から転移)に大別され、いずれも治療や除去が必要です。
主な症状
腫瘍が占める空間とそれに伴う浮腫により、頭蓋内圧が上昇し、以下のような症状が出ます。
- 頭痛、特に朝起きたときに強くなる
- 吐き気・嘔吐、朝方に顕著
- めまい、倦怠感、混乱、方向感覚の喪失
- 協調運動障害(歩行失調)やバランス感覚の低下
腫瘍が周囲の脳組織を圧迫・浸潤すると、次のような局所症状も現れます。
- 四肢の感覚麻痺や運動制御障害
- 視力低下や視野欠損
- 言語障害、発話困難
- 記憶力や判断力の低下
症状の出方は腫瘍の部位と大きさで異なり、診断の手がかりとなります。
腫瘍の種類
小脳腫瘍は原発性と転移性に分かれます。
- 原発性腫瘍:小脳で直接発生。代表的なものは小児・成人ともに最も多い「髄芽腫」(増殖が速く、脳腫瘍全体の約20%)と、良性・悪性の両方がある「小脳星細胞腫」。
- 転移性腫瘍:肺、乳房、結腸・直腸、腎臓、皮膚など他臓器の癌が血流やリンパを通じて小脳に転移したもの。
診断
症状が出たらまずはかかりつけ医に相談し、必要に応じて神経内科医や脳神経外科医の診察を受けます。診断の主な手段は以下の通りです。
- MRI(磁気共鳴画像)やCT(コンピュータ断層撮影)による高解像度画像
- PET、SPECT、MRS などの機能画像で腫瘍の代謝や血流を評価
- 血管造影(アンギオグラム)で血管の状態を確認
- 必要に応じて腫瘍生検を行い、組織学的に良性・悪性を判定
治療
治療方針は腫瘍の位置・大きさ・病期により異なります。
- 手術:腫瘍が安全に切除可能な場合は外科的除去が第一選択。
- 放射線治療:手術が困難な場合や部分切除後に腫瘍を縮小させる目的で高線量の放射線を照射。
- 化学療法:放射線と併用し、癌細胞を薬剤で死滅させる。
- 臨床試験:新しい薬剤や治療法の研究が進行中。
早期発見と適切な治療が予後改善につながります。
