薬物依存に対するモチベーショナル・インタビュー(MI)の概要と実践

モチベーショナル・インタビュー(Motivational Interviewing、略称MI)は、精神疾患やアルコール・薬物依存の治療を支援する比較的新しいアプローチです。効果は個人差があり、すべての患者に適用できるわけではありませんが、依存者の使用動機を見直し、社会復帰への意欲を高めることを目的としています。

基本原則

  • MIは1983年にウィリアム・R・ミラー教授が提唱し、以降、米国ホームレス健康委員会のデイビッド・B・ローセンゲンらが実践指針を整備しました。面接者はMIの手法について正式な研修を受け、認定を受けていることが前提です。

目標設定

  • まず、面接者は依存者との対話を通じて、本人が描く自己像と実際の行動とのギャップをやさしく指摘します。たとえば、将来の目標(医師やプロスポーツ選手など)を尋ね、学業やトレーニングの現状と薬物使用との矛盾を自覚させます。

実施のポイント

  • 質問は非評価的かつラベリングを避け、クライアントが自ら問題に気づくよう促します。抵抗が現れた場合は質問の方向を変え、自己効力感("できる"感覚)を引き出すエピソードを語らせます。共感的な姿勢でオープンな雰囲気を作り、信頼関係が築かれれば、感情や過去の行動について深く語るようになります。

課題と限界

  • 否認状態にある依存者はMIの質問に反応しにくく、効果が限定的です。また、治療環境でモチベーションが高まっても、実社会に戻った際に仲間の影響で再発するリスクがあります。

研究結果

  • ニューメキシコ大学の研究(ウィリアム・R・ミラーら)では、200名以上の患者を対象にMIを実施したグループと対照グループを比較しました。結果として、依存行動の再発率に有意差は見られませんでした。特に、面接者が共感から評価・計画策定へと急激に転換したときに、クライアントの抵抗が増大したことが示唆されています。

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