アルコール依存症に対するインプラント治療の最新情報
治療の背景
長年にわたり、アルコール依存症の治療には、飲酒した際に強い不快感を引き起こす薬剤が用いられてきました。米国で「Antabuse」という商品名で販売されているジスルフィラムは、1940年代後半から使用されています。また、別の作用機序を持つナルトレキソンも依存症治療に利用されています。
ジスルフィラム(Disulfiram)の作用とインプラント
薬理作用
ジスルフィラムはアルコールの代謝を阻害し、体内にアセトアルデヒドが蓄積します。その結果、飲酒後5〜10分で顔面の赤み、吐き気、嘔吐、激しい頭痛、動悸などの強い不快症状が現れ、アルコールが体内から排除されるまで続きます。この不快感を利用して、患者が長期間のカウンセリングや12ステッププログラムに取り組む時間を確保します。
インプラントの実施状況と課題
米国ではジスルフィラムのインプラントは行われていませんが、服薬を中断できないようにする目的で、皮下に埋め込み、薬剤が3〜6か月で徐々に放出されます。しかし、放出量が不足すると飲酒時に症状が出ず、飲酒を続けてしまうケースがあります。また、埋め込み部位の感染リスクも報告されています。オーストラリアなど一部の国では実施されています。
ナルトレキソン(Naltrexone)インプラント
ナルトレキソンはオピオイド受容体拮抗薬で、飲酒欲求を抑える効果があります。米国では「Revia」や「Depade」という商品名で販売されていますが、インプラント形態は主にオーストラリアで使用されています。オーストラリアのO'Neil社が開発した「O'Neil Naltrexone Implant」は、約200日(場合によっては1年)にわたって持続的に薬剤を放出し、服薬忘れのリスクを排除します。創始者のGeorge O'Neil博士は、タバコ、アンフェタミン、ヘロイン、ギャンブルなど多様な依存症にも効果があると主張しています。インプラントは小さな切開で胃壁に設置されます。
