溶剤乱用(吸入剤)の対策と治療
定義
溶剤乱用とは、揮発性の化学溶剤を吸入し、精神状態を変化させる行為です。アルコールと同様に脳に作用し、長期的な使用は中枢神経系にダメージを与えます。また、肺に入る酸素が置き換えられ、低酸素状態(ハイポキシア)を引き起こし、脳細胞に深刻な障害を与えることがあります。
流行状況
溶剤乱用は主に12歳から17歳の思春期の若者に多く見られます。入手が容易で、家庭用品として日常的に使用されているため、危険性に気付かないケースが多いです。米国国立薬物乱用研究所が実施した2008年の「Monitoring the Future」調査によれば、対象となった米国の8年生の15.7%が一度は吸入剤を使用したと回答しています。
吸入剤の種類
若者が乱用する主な溶剤は、揮発性溶剤、エアロゾル、ガスの三類に分かれます。揮発性溶剤は室温で蒸発する液体で、シンナー、ガソリン、ライター用燃料、接着剤、マーカーのインクなどがあります。エアロゾルはスプレー塗料、ヘアスプレー、パソコン用クリーニングスプレー、調理用オイルスプレーなどです。ガス系はブタンライター、プロパンタンク、ホイップクリームディスペンサーに含まれる亜酸化窒素(通称「ウィップス」)などが代表的です。
乱用の兆候
保護者が注意すべきサインとして、子どもの服や手、顔に塗料や汚れが付着している、空のスプレー缶や化学物質が染み込んだ布が隠されている、呼吸や服に化学臭が残る、酔っ払ったようなふらつきや言語障害、吐き気、食欲不振、協調運動の低下、イライラや抑うつ状態などが挙げられます。これらは吸入剤使用の可能性を示す重要なサインです。
警告
吸入剤の使用は、聴覚障害、骨髄損傷、脳障害、四肢の痙攣、最悪の場合死に至る不可逆的な健康被害を引き起こす恐れがあります。また、腎臓へのダメージも報告されており、使用を止めても回復しないケースがあります。子どもたちに対して、吸入剤の深刻な危険性を正しく教育することが不可欠です。
治療
多くの場合、最も効果的な治療は溶剤の使用を完全にやめさせることです。保護者は子どもの行動を継続的に監視し、再発の兆候がないか注意深く見守る必要があります。
