眼鏡レンズに使用されるプリズムの目的と効果
プリズムは、両眼で見ると二重像(複視)が生じる人の視覚を補正するために眼鏡レンズに組み込まれます。目の位置がずれているとき、レンズ内のプリズムが像を所定の方向にシフトさせ、脳に「目が正しく連動している」ように錯覚させます。水平に視線を保ったまま後ろに倒れた姿勢でも前方を見られるものや、視野を30度拡張するものなど、様々なタイプがあります。
歴史
ヨハネス・ケプラー(1571‑1630)は天体望遠鏡「ケプラーネック」を発明し、そこで「プリズム」や「レンズ」という用語を導入しました。今日でも幾何光学の基礎として学ばれています。眼鏡そのものの起源は不明ですが、13世紀後半にイタリアで誕生したと考えられ、15世紀中頃には高品質レンズの製造・販売で世界のリーダーとなっていました。1999年、ハーバード医科大学付属眼科のエリ・ペリ博士(O.D.)は、拡張プリズム概念に基づく「ペリレンズ(Peli Lens)」を開発し、視野拡張眼鏡として注目されました。
専門家の見解
ペリ博士は、レンズの上端と下端にプリズムを配置し、車のサイドミラーのように外側の物体を視野内へ導くデザインを提案しました。このプリズムは、同側半盲(homonymous hemianopia)などで失われた周辺視野を回復させ、左側または右側の盲点を補う効果があります。
試用プリズム
本格的にプリズム眼鏡を購入する前に、取り外し可能な試用プリズムで効果を確認できます。価格は約300ドルと手頃で、レンズに永久的に組み込む高価なプリズムの代わりに、貼り付け型のものを選ぶことも可能です。
メリット
プリズムは視線の向きに関係なく盲点の画像を捕らえ、同側半盲の患者が人や家具、ドアに衝突するリスクを大幅に減らします。2008年のペリ博士の研究では、プリズム眼鏡を装着した被験者の多くが障害物回避に成功し、段差や縁石での小さな困難を除き、全体的に安全性が向上したことが報告されています。また、脳卒中後に同側半盲となった患者が、プリズムを使用することで運転適性試験に合格するケースも報告されています。
その他のタイプ
遠近両用レンズ(バイフォーカル)では、眼鏡の上下で処方が大きく異なるために複視が生じることがあります。このとき、レンズに「スラブオフ」プリズムを研削して像を揃えると、複視が解消されます。
「ベッドグラス」と呼ばれる寝た姿勢で使用する眼鏡もあります。これらはリクンバント眼鏡(recumbent glasses)とも呼ばれ、ベッドに横たわったままテレビ視聴や読書ができるように視野を伸ばすプリズムが組み込まれています。
