トキソカリア眼感染症(OLM)の治療法
トキソカリア眼感染症(ocular larva migrans, OLM)は、猫や犬の腸に寄生する回虫(Toxocara cati, Toxocara canis)の幼虫が眼に侵入し、視力低下や失明を引き起こす稀な感染症です。米国疾病予防管理センター(CDC)によると、毎年約700人が視力喪失に至るとされています。治療は抗寄生薬とステロイドなどの抗炎症薬の併用が一般的です。
原因と症状
感染は主に子供が土壌中の寄生虫卵を誤って摂取することで起こります。公園や遊び場でペットの糞が残っていると、卵が土に付着し、子供が手や口を通じて体内に取り込みます。卵が孵化すると幼虫が血流に乗り、眼を含む全身に移動します。主な症状は以下の通りです。
- 眼の炎症、充血、かゆみ
- 視力低下や視野欠損
- 重症例では失明
診断
眼の症状が疑われる場合は、速やかに眼科を受診し、寄生虫感染の有無を確認します。診断には以下が行われます。
- 眼底検査や超音波検査による直接的な所見確認
- 血清検査でToxocara特異抗体(IgG)を測定し、陽性であればトキソカリア感染と確定
治療
確定診断後は、抗寄生薬とステロイドの併用が推奨されます。ウィーン大学医学部の研究(2001年)では、成人に対しアルベンドゾール800 mgを1日2回、子供には400 mgを1日2回投与し、同時に全身ステロイドで炎症を抑制しました。その結果、平均観察期間13.8か月で全症例が視力改善(初期平均20/40 → 最終平均20/20)し、再発は認められませんでした。
治療期間中は定期的な眼科フォローアップと血清抗体価のモニタリングが重要です。
