妊娠が原因となる肝臓障害について

妊娠や出産は、母体の肝臓に様々な負担をかけることがあります。肝機能が低下すると母体だけでなく胎児にも影響が及ぶため、リスクがある女性は食事や生活習慣に注意し、定期的な検査を受けることが重要です。

肝臓障害の定義

肝臓障害(肝毒性)は、肝臓が本来担う解毒・代謝・タンパク合成などの機能が阻害される状態を指します。妊娠中は血液検査でビリルビン値や肝酵素(AST、ALT)を測定し、異常がないか確認します。

HELLP症候群

HELLP症候群は「溶血(Hemolysis)・肝酵素上昇(Elevated Liver enzymes)・血小板減少(Low Platelets)」の頭文字から名付けられた重篤な合併症です。尿中にタンパクが出現し、高血圧を伴うことが多く、腹痛、倦怠感、嘔吐、頭痛などの症状が現れます。治療はステロイド投与が中心で、症状は出産後に改善することが一般的です。

急性脂肪肝

急性脂肪肝は妊娠中に肝臓に脂肪が過剰に蓄積される稀な疾患で、嘔吐、黄疸、腹痛、倦怠感を引き起こします。重症例では血液輸血が必要になることがあります。分娩により症状は速やかに改善し、母体は通常完全に回復します。

慢性肝炎

A型、B型、C型肝炎はウイルス感染による慢性炎症で、黄疸、微熱、腹痛、嘔吐などの症状が出ます。妊娠中は抗ウイルス薬の使用が胎児へのリスクとなるため、治療は慎重に行われます。特にB型肝炎は出生後12時間以内に新生児へワクチン接種が必要です。C型肝炎は出生時に感染することがありますが、頻度は低いです。

肝臓障害と胎児への影響

HELLP症候群が診断されると、胎児の安全を確保するために緊急分娩が推奨されます。急性脂肪肝でも母体と胎児の臓器不全リスクを減らすため、できるだけ早く出産します。B型肝炎は新生児への感染予防としてワクチン接種が必須です。C型肝炎は稀に母子感染が起こりますが、適切な管理でリスクは低減できます。

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