体温が通常より低くなる原因とは
体温が正常範囲(約36.5〜37.5℃)より低くなる状態は低体温症と呼ばれ、緊急の医療処置が必要です。以下では、低体温症の主な原因、段階、治療法、予防策をわかりやすく解説します。
環境要因
低体温症の最も一般的な原因は、寒冷環境への過度の曝露です。適切でない服装で極低温にさらされたり、氷水に長時間浸かったりすると、体は外部へ熱を失う速度が産熱速度を上回り、体温が急速に低下します。
温水下の低体温症
寒さだけが原因ではありません。熱伝導率が高い水に浸ると、たとえ水温が比較的暖かくても体熱が急速に奪われます。人の体温は約37℃(98.6°F)です。水温がそれより低い場合、熱は高温側から低温側へ移動し、長時間浸っていると低体温症に陥ります。たとえば、30℃(90°F)程度の水でも、長時間泳ぎ続ければ危険です。そのため、ダイバーは暖かい環境でも保温スーツを着用します。
外傷による低体温症
外傷や大量出血も体温低下の原因となります。銃創や交通事故などで血液が大量に失われると、血液が持つ熱が失われ、体の中心温度が急激に下がります。そのため、外傷後に「寒い」と訴える患者は低体温症の可能性があります。
低体温症の段階
低体温症は体温の低下幅に応じて3段階に分類されます。
- 第1段階:体温が約35.0〜35.9℃に低下(軽度)
- 第2段階:体温が約32.0〜34.9℃に低下(中等度)
- 第3段階:体温が32℃未満に低下(重度)
体温がわずかに下がるだけでも代謝や心拍、呼吸に大きな影響を与え、生命維持が困難になります。
治療法
治療は低体温症の段階に応じて行いますが、共通する基本は「乾燥」「保温」「徐々に温める」ことです。
- 濡れた衣服はすぐに脱ぎ、乾いたタオルや毛布で体を覆う。
- 体全体を均一に温めるため、電気毛布や温かい飲料を使用する。
- 特に重度の場合は、医療機関での温熱カテーテルや温水ブランケットによる積極的な温熱療法が必要。
簡易的な方法としては、他者が自分の体温で患者を温めながら毛布で覆う「体温移動」も有効です。
低体温症の予防
以下のポイントを守れば、低体温症のリスクを大幅に減らせます。
- 防寒対策:ウールや防水・防風性のある合成繊維の衣服を重ね着する。
- アルコール摂取の禁止:アルコールは血管を拡張し、熱散失を促進するため、寒冷環境へ入る前は控える。
- 適切な水分補給とエネルギー補給:体内の熱産生を維持する。
注意喚起
低体温症は徐々に進行し、症状が軽いうちに自覚しにくいことがあります。進行すると運動能力や判断力が低下し、救助を求めることすら困難になるため、早期発見・早期対応が重要です。
