MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の特徴と対策
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は、軽度から命に関わる重篤な感染まで幅広く引き起こす細菌です。主に医療機関で発生する「医療関連MRSA(HA‑MRSA)」と、医療施設外で広がる「コミュニティ関連MRSA(CA‑MRSA)」があります。従来の広域抗生物質が効かないため、合併症のリスクが高くなります。
黄色ブドウ球菌(スタフィロコッカス・オーリス)とは
黄色ブドウ球菌は、健康な人の約20%の皮膚に常在する一般的な細菌です。皮膚感染の最も多い原因菌で、軽いものから外科手術後の創部感染や肺炎といった重篤な感染まで様々です。通常は抗生物質で治療できますが、MRSAのように薬剤耐性を獲得した株は治療が難しくなります。
MRSA感染の特徴
最も一般的なのは皮膚感染で、蜂窩織炎や膿瘍、ものもらい、膿痂疹(膿を含む水疱)や炭疽様の大膿瘍などが報告されています。皮膚感染が血流に乗って全身へ広がると、呼吸困難、発熱、関節痛、激しい頭痛、発疹、低血圧などの症状を呈します。米国の病院では、入院患者の約60%の黄色ブドウ球菌感染がMRSAによるものとされています。
MRSAの感染経路
皮膚と皮膚の直接接触や、タオル・衣類などの汚染された個人用品を介して広がります。表面に付着した菌は触れた人に移ります。HA‑MRSAは医療機器や医療従事者の手を通じて患者間で伝播し、CA‑MRSAは学校、保育園、刑務所、寮など人が密集する場所での接触が主な原因です。
MRSA感染予防のポイント
最も重要なのは、こまめで徹底した手洗いです。特に公共施設や医療機関を利用した後は必ず手指を清潔にしましょう。皮膚が破れている場合は創部を覆い、他人の創部や包帯に触れないようにします。タオルや寝具、衣類の共有は避け、家庭内で開放創がある場合は洗濯を熱い石鹸水で行い、可能なら塩素系漂白剤を使用します。また、学校や保育園の玩具・設備は定期的に消毒してください。
診断と治療
MRSA感染は一般的な黄色ブドウ球菌感染と症状が似ているため、診断が重要です。皮膚や創部から採取した培養検体でMRSAの有無を調べます(培養には約48時間)。近年は数時間で結果が出る高速検査も登場しています。治療は軽症の場合は膿の排除、重症例ではMRSAに有効な非ペニシリン系抗生物質(バンコマイシン、リネゾリドなど)を使用します。
