肺実質の固縮(コンソリデーション)の定義と概要
病理学的起源
肺が感染や他の病変に反応すると、炎症により液体、膿、または細胞破片が肺組織に漏れ出し、密度が上がって硬くなります。この状態を「固縮(コンソリデーション)」と呼び、死後の解剖で見られる肺の外観を指します。聴診器やX線が普及する前は、死体で確認された所見を生存患者の診察と結びつける試みが行われていました。
身体診察の歴史
オーストリアの医師レオポルト・アウエンブルガーは、父親の酒蔵で樽を叩く技術から胸部打診(パーカッション)を学び、液体や固体の有無を判断できることを発見しました。肺が固縮すると、正常な肺に比べて鈍い音が聞こえます。
固縮がある側は胸部の動きが制限され(膨張低下)、気管支音が強く聞こえるようになります。ささやき声が増幅される「ささやき音増強」や、患者が「ビー」と言うと「ベイ」に聞こえる「エゴフォニー」も固縮の手がかりです。
症状と所見
肺炎(特に肺実質の固縮)では、痰が出る咳、呼吸困難、胸痛、発熱、夜間の発汗、倦怠感、血痰(錆色)などが現れます。重症例では呼吸数が増加(頻呼吸)し、発汗、頻繁な咳、会話困難、蒼白が見られます。
放射線所見
X線検査で固縮した肺は放射線を多く吸収し、白く濃い影として映ります。軽度の非定型肺炎では固縮像が認められないこともあります。画像は患者が正面を向いた状態で撮影され、右側の肺は画像の左側に写ります。正常肺は空気で満たされているため暗く(透過性が高く)映ります。
感染原因
代表的な原因菌は肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)やクレブシエラ属で、これらは典型的な肺実質の固縮を引き起こします。マイコプラズマやレジオネラなどの「非定型」菌は固縮を起こしにくい傾向がありますが、必ずしも例外はありません。インフルエンザウイルスなどのウイルス感染も肺炎の原因となります。
治療
肺炎は主に細菌感染が原因のため、手洗いや咳エチケットで拡散防止が重要です。肺炎球菌ワクチンの接種が重症化予防に有効です。医師は患者の状態を評価し、人工呼吸器の使用や入院による酸素投与、吸入治療、静脈内抗生物質投与を判断します。軽症の「歩行性肺炎」や非定型肺炎は自宅で経口抗生物質治療が行われることが多く、通常は固縮が認められません。固縮の有無は病勢の重症度を示す重要な指標です。
