Variolaウイルス(天然痘ウイルス)のライフサイクルと症状解説
概要
Variolaウイルスは天然痘を引き起こす高度に感染力のあるウイルスです。数千年にわたって流行し、20世紀後半の世界的ワクチン接種により根絶されました。
疾患のタイプ
主に「Variola major」と「Variola minor」の2形態があり、症状は似ていますが致死率は異なります。Variola majorは約30%、Variola minorは1%未満が致死します。さらに、出血性天然痘や悪性天然痘という稀な形は必ず致死します。
潜伏期
感染は直接接触や衣類・体液などを介して広がりますが、空気感染は稀です。動物や昆虫からの感染は報告されていません。潜伏期間は7〜17日で、この間は無症状かつ感染性はありません。
初期症状(発熱期)
発熱(38.3〜40℃)に加え、頭痛・全身の筋肉痛・倦怠感・嘔吐が見られ、2〜4日続きます。この期間中に感染性が出始めます。
早期発疹期
口腔内に小さな赤い点が現れ、やがて潰瘍になります。その後、顔・胴体・四肢に発疹が広がります。3日目には隆起した斑点ができ、4日目には濁った液体が充填した膿疱(へそのような凹みが中心にある)に変化し、熱が再燃します。この段階が最も感染力が高いです。
膿疱期と痂皮期
斑点は固く丸い膿疱へと成熟し、約5日間続きます。その後、膿が出て結痂し、痂皮が形成されます。これらの期間も感染性があります。
痂皮の脱落と回復
痂皮は約6日で自然に剥がれ落ち、傷跡が残ります。痂皮が完全に落ちた時点で感染性は消失します。
治療と予防
ワクチン接種により予防が可能で、曝露後4日以内であれば免疫付与が期待できます。既に発症した場合の特効薬はなく、対症療法が中心です。高い致死性から、アウトブレイクが疑われた場合は速やかな感染拡大防止策が必要です。
