生殖補助技術(ART)に伴う健康リスク
排卵誘発薬の副作用
排卵誘発薬は卵巣を刺激し、複数の卵子を放出させることで胚移植の成功率を高めます。しかし、卵巣が薬に過敏に反応すると卵巣過刺激症候群(OHSS)を引き起こし、まれに致命的になることがあります。また、異所性妊娠のリスクも高まります。
多胎妊娠のリスク
ARTでは双子や三つ子など多胎妊娠が増える傾向にあります。双子の約50%、三つ子の90%が早産で、脳・肺・眼の発達に重大なリスクが伴います。母体側でも高血圧や妊娠糖尿病が起こりやすく、帝王切開の必要性が高まります。
先天性異常の可能性
いくつかの研究では、ARTで受精した子どもに先天性異常がやや増加していると報告されています。ただし、異常が治療そのものによるものか、親の不妊原因に起因するのかは明確ではありません。リスクは上昇していますが、全体としては依然として稀です。
男性不妊と遺伝的リスク
顕微授精(ICSI)により、精子が1本だけでも卵子に注入できるため、男性不妊でも子どもを持つことが可能です。しかし、遺伝的に不妊を引き起こす変異を持つ父親は、その変異を子に伝える可能性があります。結果として、不妊の父親の息子は自らも不妊になるリスクが高くなります。
リスク低減策
多胎妊娠のリスクは、1胚のみ移植するか、必要に応じて胎児減胎を行うことで大幅に低減できます。これにより、ARTに伴う多くの健康リスクを回避することが可能です。
