多発性硬化症(MS)とダイエットのポイント

医師や研究者は食事変更が多発性硬化症(MS)の治療に有効だと提案していますが、現時点で確固たるエビデンスはありません。むしろ、特定のビタミンを過剰に摂取するような極端な食事は患者に害を及ぼす可能性があります。MSの一般的な副作用の一つは、運動量が減少することで体重が増えることです。以下では、MS患者が健康を維持しやすくするための実践的な食事のポイントを紹介します。

ポーションコントロール(適切な量の管理)

  • 現在市販されている食品は、特にファストフードにおいて非常に大きなサイズで提供されています。自分が実際に食べる量を把握し、カロリー過剰摂取を防ぎましょう。

    例として、缶詰のコンデンススープは「2.5食分」分の量が入っています。缶に記載されたカロリー数に2.5を掛けると、実際に摂取したカロリーが分かります。

    単品サイズ(シングルサーブ)の食品を選び、チーズやヨーグルト、ランチキットなどは個包装されたものを購入すると、計量の手間が省けます。

    食事の量は目で測るのではなく、具体的に測定しましょう。調理した野菜は½カップ(生野菜は1カップ)を1食分とし、肉は石鹸1個大(約85g)を目安にします。アイスクリームはテニスボール大の1スクープを1食分としてください。

炭水化物の取り扱い

  • 低炭水化物ダイエットは体内のインスリンを抑え、体重減少を促す可能性がありますが、MS患者には注意が必要です。ケトン体は食欲抑制に役立ちますが、同時に疲労感を増大させ、MS特有の疲労を悪化させる恐れがあります。

    また、ステロイド療法や運動不足は骨密度低下(骨粗鬆症)のリスクを高めますが、低炭水化物食はたんぱく質は多くてもカルシウムが不足しがちです。

    さらに、低炭水化物食は食物繊維が不足しやすく、MS患者が抱えがちな慢性便秘を悪化させます。十分な繊維質と水分を確保するために、野菜や全粒穀物、果物を積極的に摂取しましょう。

    総合的に見ると、特定の食品群を完全に排除するよりも、カロリー管理と適切なポーションコントロールに注力する方が、長期的な体重維持と健康に寄与します。

オメガ‑3脂肪酸の活用

  • 飽和脂肪酸やトランス脂肪酸は健康に悪影響を与える一方で、オメガ‑3を含む多価不飽和脂肪酸は体に有益です。米国多発性硬化症協会の研究によれば、オメガ‑3は再発と寛解のサイクルに好影響を与える可能性があります。

    312名のMS患者を対象にした臨床試験では、1日10gの魚油(オメガ‑3)を摂取した群は、対照群に比べて筋力障害の進行が抑えられました。

    オメガ‑3はサーモン、サバ、イワシなどの脂肪の多い魚、亜麻仁油、くるみ、サプリメントで摂取できます。

    ただし、魚油サプリは血液凝固や糖尿病治療薬、MSの症状を抑える薬と相互作用する可能性があります。必ず医師に相談し、適切な量とタイミングを確認してください。

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